相続税はいくらかかる?相続が発生した時に必要な知識を解説します

親族などが亡くなって遺産を受け取ることになった場合、「相続税がいくらになるのか?」ということが気になる人も多いのではないでしょうか。
しかし、遺産を相続したからといって、必ず相続税がかかるわけではありません。

この記事では、相続税がかかるかどうかを見分ける方法など、相続が発生した時に確認すべき知識について詳しく解説します。

相続税はいくらからかかるのか?詳しく解説

相続税はいくらからかかるのか?詳しく解説

亡くなった人の財産を受け取ることを相続、あるいは遺贈といいます。
相続税とは、相続や遺贈で受け取った財産にかかる税金です。

「相続税は、資産家が払うもの」だと思っている人もいるのではないでしょうか。
実は、以前は遺産額が6,000万円以下の人には相続税がかかりませんでした。
しかし、2015年(平成27年)に施行された税制改正で課税されるかどうかの基準が大幅に引き下げられ、相続税の対象となる人は改正前の2倍に増えたのです。

相続税の基準は3,600万円

相続税の基準は3,600万円

改正後、課税の最低基準は3,600万円になりました。
自分のケースで相続税がかかるかどうかを判断するためには、遺産の額を正確に把握しなければなりません。

遺産の額を計算するポイント

遺産額の計算をする際に注意すべきポイントは、以下の3つです。

ポイント1:遺産には「相続税の課税対象」と「課税対象外」のものがあるということ
ポイント2:「受け取る財産」だけでなく、借金や未払金などの債務も含まれるということ
ポイント3:遺産の「価格」は、相続時の時価で評価されるということ

3つのポイントを踏まえて、具体的にどのようなものが遺産に含まれるのかを見ていきましょう。

相続税の課税対象になる遺産

まずは、課税対象となる財産を評価方法とともに紹介します。

●相続財産
被相続人が亡くなった時点で所有していた下記のような財産は、代表的な課税対象財産です。
現金や預貯金、株式や公社債などの金融資産、土地家屋などの不動産、美術品やブランド品、書画骨董品など、金銭的価値のあるすべての財産が課税対象となります。

財産の種類 評価方法
預貯金 被相続人が亡くなった日の預入残高+既経過利子額
上場株式 次のうち、最も低い価格
①被相続人が亡くなった日の終値
②被相続人が亡くなった月の「終値平均額」
③被相続人が亡くなった月の「前月の終値平均額」
④被相続人が亡くなった月の「前々月の終値平均額」
外貨 被相続人が亡くなった日の円貨相場価格
公社債 券面額100円あたりの「被相続人が亡くなった日の売価」+既経過利息
土地 ①路線価方式(正面路線価×奥行価格補正率×面積
②倍率方式(固定資産評価額×一定倍率)
※路線価が定められていない場合は②を採用
家屋 固定資産税評価額×1.0
分譲マンション 敷地権の価格+区分所有する建物の固定資産税評価額
美術品、宝石、ブランド品、書画骨董品等 真贋鑑定書など、専門家の意見を参考にした価格

●みなし相続財産
被相続人が亡くなったことで生じ、相続人が受け取る財産のことを「みなし相続財産」と呼びます。
生命保険の死亡保険金や死亡退職金の他、被相続人を契約者、被相続人以外の家族を被保険者とする保険契約も含まれます。

財産の種類 評価方法
生命保険の死亡保険金 死亡保険金額-(500万円×法定相続人数)
生命保険契約の権利 相続開始時点の解約返戻金額
死亡退職金 死亡退職金額-(500万円×法定相続人数)

生命保険の死亡保険金や死亡退職金には「500万円×法定相続人数」の非課税限度額が設定されているため、受け取った金額から差し引きます。

●相続開始前3年以内に被相続人から受けた生前贈与財産
相続開始から遡って3年以内に被相続人から贈与を受けた相続人がいる場合、その贈与財産は相続税の課税対象となります。

財産の種類 評価方法
3年以内の贈与財産 贈与時の財産価格-贈与時に納付した贈与税額

●被相続人から受けた相続時精算課税適用の生前贈与財産
相続時精算課税制度とは、原則60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に対して財産を贈与した時に選択できる制度です。
贈与税が非課税になる代わりに、贈与者が亡くなった時に相続税として精算することになるため、贈与時に受けた価格をそのまま相続財産に加算します。

財産の種類 評価方法
相続時精算課税制度適用贈与財産 贈与時の財産価格

相続財産から差し引ける遺産

相続財産は、「何かを得られる」ものばかりとは限りません。
被相続人に借入金や未払金などの債務があった場合は、それを返済する義務も相続することになる点に注意が必要です。
ただし、債務の額は葬式費用とともに遺産総額から差し引くことができます。

●債務
遺産総額から差し引ける債務は、被相続人が亡くなった時点で確実にあったと認められるものに限ります。

・借入金、未払金、ローン残高など

●葬式費用
遺産総額から差し引ける葬式費用は、次のようなものです。

財産の種類 評価方法
・被相続人の葬式やお通夜、火葬、埋葬、納骨費用
・遺体や遺骨の搬送費用
・寺や教会などに対する葬式のお礼としての読経料や寄付
実費

ただし、次のものは遺産総額から差し引く費用には該当しないため注意が必要です。

・香典返し費用 ・墓石や墓地の購入費用、あるいは借りるための費用 ・法事費用

相続税が課税されない遺産

相続財産の中には、相続税がかからないものもあります。
下記のような財産は、遺産総額の計算に含めません。

●日常礼拝をしているもの
墓地や墓石、仏壇、仏具、神棚など、日常的に礼拝等をしているものは課税対象にはなりません。
ただし、骨董的価値があるものや投資資産として所有しているものは除きます。

●特定の団体や事業に寄付されたもの
相続や遺贈で得た財産を特定の団体や法人に寄付した場合、その財産や金銭は相続税の対象から除外されます。
対象となる寄付先は次のとおりです。

・国、地方団体、または公益を目的とする特定の法人
・特定の公的信託
・認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)

遺産額の算出

被相続人の財産が把握できたら、遺産額を計算します。
財産を見落とさないように、一覧表を作ってまとめておくと良いでしょう。
計算式は、次のとおりです。

遺産額={相続財産+(みなし相続財産-非課税枠)+(3年以内の贈与財産-既納贈与税)+相続時精算課税制度適用贈与財産}-債務-葬式費用

算出された遺産額が、3,600万円を下回った場合は相続税がかかりません。

相続人の数を例に相続税を計算

相続人の数を例に相続税を計算

相続人とは、法律によって財産を相続する権利があると認められた親族のこと。
相続税の計算には相続人の数が大きく関わってくるため、誰が相続人なのかをしっかり把握しておくことが大切です。

法定相続人の範囲

法定相続人(以下、相続人)の範囲は、被相続人が亡くなった時点での家族構成によって異なります。

●配偶者
被相続人に配偶者がいる場合は、常に相続人となります。
ただし、戸籍上の夫婦関係であることが必要で、内縁関係の人や事実婚パートナーなどは相続人に含まれません。

配偶者以外は、次の順序で相続人になります。

順序 被相続人との関係
常に 配偶者
第1順位 直系卑属(子、孫、ひ孫)
もし、子が亡くなっている場合は孫、孫が亡くなっている場合はひ孫というように、近い世代から順に相続人になります。
第2順位 直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)
父母が亡くなっている場合は、近い世代から順に相続人になります。
第3順位 兄弟姉妹
亡くなっている場合は、子(甥姪)の世代まで相続人になります。

法定相続人の数が関わってくる計算

相続人の数が大きく影響する部分は、2つあります。

●死亡保険金、死亡退職金の非課税限度額
相続税の課税対象になる遺産の「みなし相続財産」の項でも触れましたが、死亡保険金や死亡退職金の非課税限度額は「500万円×法定相続人数」という計算式で求めます。

もう1つは、課税の基準3,600万円を算出する計算式です。

基礎控除額について詳しく解説

基礎控除額について詳しく解説

基礎控除とは、遺産額から差し引くことができる控除制度のひとつで、次の計算式で算出します。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)

つまり、「3,600万円」とは、相続人が1人の場合の基礎控除額だというわけです。
相続人の数が増えるほど基礎控除額も増え、課税の基準も上がっていくことになります。

相続人数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

基礎控除には特別な適用要件が設けられていないため、すべての人が利用できます。

3,600万円を超えても税金がかからない場合がある

3,600万円を超えても税金がかからない場合がある

遺産額が基礎控除額を上回っても、必ず相続税がかかるとは限りません。
相続税額の計算には、基礎控除以外にもいくつかの控除や特例があり、税負担を軽減できます。

控除や特例の一部を紹介しましょう。

控除、特例 対象者 内容
配偶者控除 被相続人の配偶者 次のどちらか多い金額まで、相続税がかからない
①1億6,000万円
②配偶者の法定相続分(遺産額の1/2)
未成年者控除 未成年の相続人 相続税額-(成人するまでの年数×10万円)
※控除額が相続税額よりを超える場合、上回った分はその未成年者を扶養している人の相続税から差し引く
小規模宅地等の特例 ・被相続人の自宅を相続した配偶者や同居親族 ・被相続人の事業を継承した親族 など 適用要件を満たす場合、財産評価額を下記の割合で減額
・被相続人の住居:80%(330㎡まで)
・被相続人の事業所:80%(400㎡まで)
・被相続人の貸付事業所:50%(200㎡まで)

中には適用要件が厳格なものもありますが、その分大きな節税効果が期待できます。
それぞれの状況に当てはまる控除や特例がないか、しっかりと確認すると良いでしょう。

相続税がかかる場合の計算式

相続税額の計算は、少し複雑です。
例えば、「遺産総額1億円、法定相続人3人(配偶者、子18歳、子14歳)」で計算してみましょう。

①課税遺産総額を算出
遺産額-基礎控除額=課税遺産総額
1億円- 3,000万円+(600万円×3人)=5,200万円

②課税遺産総額を法定相続分で割り、各自の課税遺産額を算出
法定相続分は、下表のとおりです。

配偶者と子 配偶者1/2、子(複数人数の場合、全員で)1/2
配偶者と父母 配偶者2/3、父母(複数人数の場合、全員で)1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹(複数人数の場合、全員で)1/4

配偶者:2,600万円
子18歳:1,300万円
子14歳:1,300万円

③相続税率をかけて、それぞれの相続税額を算出
相続税率は、下記早見表のとおりです。

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

配偶者:340万円
子18歳:145万円
子14歳:145万円

④法定相続分で算出した相続税額を合計

340万円+145万円+145万円=630万円

⑤合計した相続税額を、実際の相続割合で分割する

例えば、配偶者が7,000万円、子18歳が2,000万円、子14歳が1,000万円を相続した場合は次のようになります。

配偶者:630万円×7,000万円/1億円=441万円
子18歳:630万円×2,000万円/1億円=126万円
子14歳:630万円×1,000万円/1億円=63万円

⑥要件を満たす控除や特例を適用させる

配偶者:0円(配偶者控除適用)
子18歳:126万円
子14歳:23万円(未成年者控除適用)

相続税の申告の要否

遺産額が基礎控除額を下回っている場合は、相続税は発生しません。
申告も不要です。

ただし、基礎控除額を超えた分にその他の控除や特例を適用させて相続税額がゼロになるケースでは、納税は不要でも申告が必要な場合があります。

覚えておきたい!相続税申告の手続き

覚えておきたい!相続税申告の手続き

相続が発生した場合の、申告の流れは次のとおりです。

①相続人の確認
②遺言書の有無の確認
③遺産と債務の確認(名義財産の確認、3年以内贈与と相続時精算課税贈与財産の確認)
④遺産の評価
⑤遺産の分割
⑥申告と納税

被相続人が亡くなったことを知った日が、相続開始の日となります。
相続税の申告は、相続開始から10ヵ月以内におこなわなければなりません。
また、相続税については、申告期限までに現金で1度に納めることとされています。

相続税申告に必要な書類

申告に必要な書類は各自のケースによって異なりますが、共通するものは以下のとおりです。

・相続税申告書
・マイナンバー(個人番号カード、通知カードなど)
・被相続人のすべての相続人が確認できる戸籍謄本
・遺言書あるいは遺産分割協議書の写し
※基礎控除以外の控除や特例を受ける場合は、印鑑証明や登記事項証明書などそれぞれの適用要件を確認する書類が必要になります。

申告書の提出先は、被相続人の住所がある地域の管轄税務署です。
2019年(令和元年)よりe-Taxでの提出もできるようになりました。

相続税についての相談・計算方法はプロにお任せ!

相続税についての相談・計算方法はプロにお任せ!

相続税の申告では、遺産の把握と評価額の計算、相続人の確認、遺産の分割など短期間でやらなければならないことが多くあります。
また、誰がどの遺産を取得するかということが相続税額に大きく影響を与える可能性もあるため、遺産の分割は特に慎重におこなわなければなりません。
手に負えないと感じた時は、税務のプロである税理士に任せるというのも有効な手段。
まずは、関連情報の収集や自分のケースにあった対策を知るために、初回無料相談などを利用するというのもおすすめです。

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