金地金・ゴールドを売却したときの税金はいくらから?計算方法と節税対策をご紹介
近年は金の価格が高騰傾向にあり、資産運用のひとつとして金地金(きんじがね)やゴールドバーを保有したり売却したりする金投資が人気です。
一方で、「金の現物を売ると税金はかかるのか」「いくらから課税されるのか」「確定申告は必要か」といった疑問を抱く方も少なくありません。
個人が金を売却した際に利益が出た場合、その利益は原則として譲渡所得となり、買値より高く売ると所得税や住民税の対象となるので注意が必要です。
この記事では、金を売却した際に税金がかかる金額の目安や、譲渡所得の計算方法、節税方法などを分かりやすく解説します。
金の売却を検討している方や、税金について不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
金を売却して利益が出た場合は、譲渡所得として申告が必要になることがあります
金地金やゴールドバーを売却して利益が発生した場合には、譲渡所得として税金の申告が必要になる場合があります。
金を売ったら必ず売却代金に税金がかかると思われがちですが、実際には利益の部分に対して課税される仕組みです。
税金は売却金額ではなく、売却益に対してかかります
金地金やゴールドバーなどを売却して利益を得ると、譲渡所得として扱われ、所得税や住民税が課税される可能性があります。
税金がかかるのは、売却金額ではなく、売却したことで得た実質的な利益(売却益)の部分です。
売却益は、売却金額から取得価額や支払った手数料などを差し引いた純粋な儲けを指します。
金地金・金貨・インゴットなどは譲渡所得の対象になる場合があります
譲渡所得とは、保有していた資産を売って得た利益のことです。
金地金、金貨、インゴットのほか、高額なジュエリーなども対象になります。
ただし、売却するものや保有目的によって、税務上の取扱いが異なるため注意が必要です。
例えば、個人が営利目的で継続的に売買している場合には、取引の実態によって譲渡所得ではなく事業所得や雑所得として扱われることがあります。
また、法人が金を売却した場合、個人とは税務上の取扱いが異なります。
判断に迷う場合は税理士へ相談すると安心でしょう。
利益が出ていない場合でも、売却明細は保管しておきましょう
利益が出ていない場合、原則として譲渡所得は発生しません。
しかし、利益の有無にかかわらず、売却時の明細書や購入時の領収書などは適切に管理・保管しておきましょう。
将来、金を売却する場合や、相続によって取得した金の取得費を確認する際にも、これらの資料が必要になります。
金の売却益にかかる税金の計算方法
金地金や金貨を売却した際の税金は、譲渡所得(売却によって得た利益)をもとに計算します。
譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引き、さらに特別控除などを適用して算出する仕組みです。
所有期間が「5年以下」か「5年超」かによって課税方法も異なるため、正しい計算方法を理解しておきましょう。
売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します
売却益は、売却金額から取得価格や手数料などを差し引いた実質的な利益部分です。
具体的には、以下の計算方法で求めます。
売却益=売却金額-(取得価格+手数料など)
例えば、100万円で購入した金地金を300万円で売却し、支払った手数料が10万円の場合、売却益は「300万円-(100万円+10万円)」の190万円です。
売却益の算出の際に必要になりますので、購入時の手数料や売却時の手数料も確認しておくことを忘れないようにしましょう。
譲渡所得の特別控除
譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算しますが、その金額からさらに年間50万円まで控除できる制度があります。
売却益を算出したら、そこから特別控除の50万円を差し引くことが可能です。
例えば、100万円で購入した金地金を300万円で売却し、手数料が10万円であった場合の売却益は190万円。
課税対象となる譲渡所得は「190万円(売却益)-50万円(特別控除)」の140万円になります。
譲渡所得は給与所得などと合算されて課税対象になる
譲渡所得は、給与所得など他の所得と合算され、所得税・住民税の対象になります。
ただし、金地金などのゴールド売却で得た譲渡所得には、何%という固定の税率が設定されているわけではありません。
譲渡所得は給与所得などと合算される総合課税の対象となるため、その年の所得金額に応じた所得税率が適用されます。
所得税は5%~45%(住民税と合わせると10~55%)の累進課税となっており、所得が多いほど税率が高くなるのが特徴です。
さらに、金などの譲渡所得は所有期間によって課税方法が異なるので注意しましょう。
保有期間(短期譲渡所得と長期譲渡所得)については、後述する項目で詳しく解説します。
ほかの譲渡所得がある場合は合算して判断します
金の譲渡所得は、1年間(1月1日〜12月31日)の売却による損益を合算し、税額を計算します。
1年間のうちに複数回にわたって金の売却をおこなった場合には、その年のすべての売却益を合算する必要があります。
例えば、1月に200万円の売却益、6月に300万円の売却益、12月に100万円の売却益を得た場合、その年の売却益は合計600万円となります。
なお、前述した50万円の特別控除は、1回の売却ごとではなく、1年間の譲渡所得全体に対して適用されるのが注意点です。
そのため、同じ年に金などを複数回売却した場合は、それらの譲渡所得を合算したうえで50万円まで控除されます。
金の売却にかかる税金の算出ステップ
税金を計算する際は、次の流れで確認しましょう。
売却価格を確認する
金地金やその他のゴールドを売却して受け取った金額を確認します。
取得費・手数料を差し引く
購入代金や購入時に支払った手数料など、取得にかかった費用を差し引きます。
また、売却時の手数料など、売却のために直接かかった費用もあわせて差し引きましょう。
年間50万円の特別控除を適用する
譲渡所得の特別控除の対象となる場合は、年間最高50万円を差し引きます。
所有期間を確認する
所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得として計算します。
長期譲渡所得では、特別控除後の金額の2分の1が課税対象です。
ほかの所得と合算して所得税額を計算する
課税対象となる譲渡所得を給与所得などと合算し、所得税・住民税を計算します。
このように、金の売却にかかる税金は複数の手順を経て算出されます。
正確な税額計算や適切な確定申告につながるので、取得費が分かる資料や売却明細を保管しておくようにしましょう。
金の所有期間で変わる、短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い
金を売却した際の譲渡所得は、所有している期間が5年以内か5年を超えるかによって課税方法が異なります。
所有期間が5年以内であれば「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」として扱われます。
なお、所有期間は「取得した日の翌日から売却した日まで」です。
所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得になります
売却の対象となる金などの保有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得として扱われます。
短期譲渡所得では、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引き、さらに年間50万円の特別控除を適用した後の金額が、そのまま総合課税の対象です。
所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得になります
売却の対象となる金などの所有期間が5年超の場合は、長期譲渡所得として扱われます。
長期譲渡所得の特徴は、特別控除後の譲渡所得の2分の1が課税対象となります。
例えば、50万円の特別控除後の譲渡所得が100万円の場合。
長期譲渡所得の課税対象となる金額は、2分の1となる50万円です。
金価格が上昇して大きな利益が見込まれる場合は、所有期間によって税額に差が生じることも少なくありません。
長期譲渡所得には税負担を軽減できる優遇制度があるため、売却のタイミングによって納める税額を減らせる可能性があります。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いを一覧表としてまとめました。
売却時期を検討する際は、価格だけでなく所有期間も確認し、税負担を踏まえたうえで判断することが大切です。
| 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 | |
|---|---|---|
| 所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
| 課税方法 | 50万円の特別控除後の譲渡所得全額が課税対象 | 50万円の特別控除後の譲渡所得の2分の1が課税対象 |
| 税負担 | 大きくなる | 短期所有に比べて抑えられる |
金の売却で50万円の特別控除を利用できる場合
譲渡所得の特別控除とは、1年間(1月1日~12月31日)の譲渡益全体に対して、最大50万円まで差し引くことができる制度です。
金を売却して利益が出た場合でも、譲渡所得の特別控除を利用できます。
特別控除は、金を売却した方にとって税負担を軽減できる重要な制度のひとつです。
売却益が50万円以下でも、ほかの譲渡所得との合算に注意が必要です
譲渡所得には、年間50万円の特別控除があります。
したがって、売却益が50万円以下であれば、譲渡所得に対する税金はかかりません。
非課税の場合は確定申告も不要ですので、特別控除後に申告が必要かどうかを確認しましょう。
金の取得費が分からないときの注意点
金地金のようなゴールドを売却する際は、購入価格などの取得費が税額を左右する重要なポイントになります。
取得費が特定できないと譲渡所得を正確に計算できず、本来よりも課税対象となる利益が大きくなる可能性があります。
購入時の領収書や取引明細が重要になります
購入時に発行された領収書や計算書(買付明細書)等は、取得費を証明する最も重要な書類です。
確定申告書を提出する際、原則として領収書や売却明細などを添付する必要はありませんが、申告内容を証明できるよう、申告後5年間は保管しておく義務があります。
譲渡所得を算出する際の取得費用は、購入時の領収書などに記載された購入代金や購入手数料をそのまま計算することが可能です。
取得費が不明な場合、売却益が大きく計算されることがあります
購入時の領収書などがなく、取得費が不明な場合は、「売却価格の5%」を概算取得費として計算する「5%ルール」が適用されます。
例えば、金地金を500万円で売却し、購入時の資料が残っていない場合、取得費は500万×5%=25万円です。
この場合、売却益は500万円-25万円=475万円となります。
もし実際には300万円で購入した金を500万円で売却した場合、本来の利益は200万円です。
しかし、5%ルールを適用すると取得費は25万円となり、利益は475万円として計算されるため、課税対象額が大きくなってしまいます。
購入時の領収書や取引明細書などが残っている場合、実際の取得費を証明したほうが有利になるケースがほとんどです。
領収書などの取得費用を証明できる関連書類を、必ず保管しておくようにしましょう。
相続や贈与で取得した金は、取得時期や取得費の確認が必要です
相続や贈与によって取得した金は、相続人や受贈者が新たに取得したものとして扱われるわけではありません。
原則として、被相続人や贈与者の取得費や取得時期を引き継ぐことになるため、譲渡所得を計算する際には、取得日や当時の購入価格を確認する必要があります。
取得費や取得時期が分からないまま売却すると、譲渡所得を正確に計算できず、税額に影響する可能性もあるでしょう。
相続財産に金などが含まれている場合は、購入時の資料や相続時の書類を確認し、不明な点がある場合は税理士へ相談すると安心です。
相続した金を売却した場合の申告方法
相続によって取得した金などを売却した場合でも、売却によって利益が生じれば譲渡所得として所得税の課税対象となることがあります。
また、相続した金の譲渡所得は、通常の売却とは異なり、被相続人(亡くなった方)の取得費や所有期間を引き継いで計算するのが原則です。
相続税と所得税では申告の内容や時期も異なるため、それぞれの手続きを正しく理解しておきましょう。
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●相続税の節税は選ぶ税理士で変わる!申告や対策の方法を税理士法人が解説
相続した金でも、売却益が出れば所得税の対象になることがあります
相続した金を売却した場合でも、利益が発生すれば譲渡所得として所得税や住民税の課税対象になることがあります。
「相続で取得した財産だから税金はかからない」と考えてしまいがちですが、相続税と売却時の所得税は別の税金です。
相続税を納めていても、売却によって譲渡所得が発生すれば所得税の対象となる場合があるため注意しましょう。
亡くなった方の取得費や所有期間を引き継ぐ場合があります
相続した金地金は、被相続人の取得費と所有期間を引き継ぐのが原則です。
例えば、被相続人が20年前に購入した金を相続人が相続後すぐに売却した場合でも、所有期間は20年として判定されます。
そのため、要件を満たせば長期譲渡所得として取り扱われ、税負担を軽減できる可能性があるので覚えておくと良いでしょう。
また、取得費についても、原則として被相続人が購入した当時の価格を引き継いで計算します。
売却をする際には、被相続人が購入したときの領収書や売買契約書、取引明細書などの資料が残っていないか確認することが重要です。
所得税・住民税を節税するコツ
購入時の領収書や明細書を探す
・購入価格がわからないと売却額の5%が取得費とされるので、譲渡所得が大きくなります。
・購入時期がわかならい長期譲渡所得であることが証明できず譲渡所得が大きくなります。
複数年に分けて小口で売却する
・50万円の特別控除を何回も使う為には単年で売却せず、時価に変動なければ複数年に分けて売却する方が節税できます。
・金の譲渡所得は累進税率である総合課税となるので、時価に変動がなければ複数年に分けて売る方が節税できます。
金の相続・贈与・売却にかかる税金の計算は専門家にお任せください
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●自宅や貸金庫にGOLD・金地金がある場合の相続における問題点と税金の問題点
金の売却にかかる税金は、取得費や譲渡費用、所有期間、特別控除、ほかの所得との関係など、さまざまな要素を考慮して計算する必要があります。
特に、購入時の資料が見当たらない場合や、相続した金を売却する場合、同じ年に複数回にわたって売却している場合は、適用できる制度や特例の判断が複雑になることも少なくありません。
万が一、計算間違いや申告漏れがあると、税法上のペナルティが課される可能性もあります。
税理士に相談することで、それぞれの状況に応じて譲渡所得を正確に計算し、適用できる特別控除や特例の有無を確認したうえで、確定申告までサポートを受けられるでしょう。
節税につながる制度を適切に活用できるだけでなく、申告ミスを防げる点も大きなメリットと言えます。
「税金がかかるか分からない」「取得費が不明で計算できない」「相続した金を売却したい」「金を生前贈与したい」などのお悩みがある方は、ぜひお早めに税理士へご相談ください。特に、遺産分割の際や遺言作成の際は相談されることをオススメします。
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