相続でかかる登録免許税とは? 計算方法や相続登記の進め方をわかりやすく解説
登録免許税は、不動産の名義変更である「相続登記」を行う際に必要となる税金です。
相続で不動産を引き継ぐことになって、「登録免許税」という言葉を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか。
登録免許税と相続税は、同じ時期に発生しますが目的の異なる税金です。
そのため、相続税がかからない場合でも、原則として登録免許税は必要になります。
この記事では、登録免許税と相続税の違いや、登録免許税の基本情報、計算方法、免税措置の概要などをご紹介するほか、相続登記の手続きを進める際のポイントまで合わせて、わかりやすく解説します。
相続登記を進める際の参考にしてください。
登録免許税とは? 相続で必要になる場面をわかりやすくご紹介
相続が発生して、「登録免許税」という言葉自体を初めて耳にする方も少なくありません。
まずは、登録免許税について基本的な情報を確認していきましょう。
登録免許税は、相続した不動産の名義変更で必要になる税金です
登録免許税は、不動産の「相続登記」を行う際に国へ納める税金のことを指します。
登記とは、不動産に関する権利関係を公に示す制度です。
法務局の不動産登記簿に、所有者や権利関係などの情報を登録し、公示をして管理しています。
しかし、相続と同時に自動的に変更されるわけではないため、相続人が法務局へ申請する必要があります。
そのため、相続で土地などを引き継ぐ人が決まった場合、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きをしなければなりません。
この手続きを「相続登記」と呼び、相続登記の際にかかる税が「登録免許税」です。
相続税とはまったく別の税金なので、財産の金額が基礎控除内で相続税がかからないとしても、原則登録免許税は必要になります。
相続登記が必要になるケースと、登録免許税の基本的な考え方
相続登記は、被相続人の名義になっている不動産を、相続人の名義へ変更するための手続きです。
現在、相続登記は義務化されており、相続が決まってから3年以内に行わないと10万円以下の過料が課される場合があります。
また、不動産を売却したい場合や、将来さらに次世代への相続が発生した場合、名義が被相続人のままでは手続きを進めることができません。
そのため、相続が発生した段階で名義を整理しておくことが大切です。
登録免許税は、相続登記を行う場合にも原則として必要になります。
相続の際の登録免許税の具体的な計算方法については、次で確認していきましょう。
相続の登録免許税はいくらかかる? 計算方法と費用の目安を確認しましょう

では実際に登録免許税を計算する際には、どのように行うのでしょうか。
相続した不動産の価格によってどう変わるのか、具体例を通じて見てみましょう。
登録免許税の基本的な計算方法を確認しましょう
相続による登録免許税の金額はいくらで、どのように計算するのでしょうか。
相続の際の登録免許税の額は、不動産の「固定資産評価額」をもとに計算します。
固定資産評価額とは、各市区町村が定めた不動産の評価額で、毎年4月1日に評価額が決定します。
固定資産税を支払っている場合、毎年届く納税通知書でも確認でき、支払っていなければ固定資産税課で「名寄帳」を取寄せる必要があります。
登録免許税は、不動産の評価額に応じて高くなります。
相続による所有権移転登記の場合、税率は原則0.4%です。
| 登録免許税=固定資産評価額 × 0.4% |
|---|
目安となる金額を一覧で見てみましょう。
| 固定資産評価額 | 登録免許税(0.4%) |
|---|---|
| 500万円 | 2万円 |
| 1000万円 | 4万円 |
| 2000万円 | 8万円 |
| 3000万円 | 12万円 |
| 5000万円 | 20万円 |
登録免許税の計算では、100円未満の端数は切り捨てとなります。
また、実際に相続する人が複数名であっても、登録免許税の金額は変わらないことも知っておきましょう。
複数の不動産を相続する場合には、それぞれの評価額を合計して計算します。
土地と建物を相続する場合は、どのように計算する?
不動産の場合、土地と建物は別々に登記されているため、登録免許税も土地と建物それぞれの評価額を基準に計算します。
土地と建物、それぞれの固定資産評価額に税率0.4%をかけた金額を合計したものが、登録免許税の合計額です。
例えば、土地の評価額が1500万円、建物の評価額が500万円、合計の評価額が2000万円の場合、登録免許税は、(土地1500万円×0.4%)+(建物500万円×0.4%)=6万円+2万円=8万円となります。
固定資産評価額によって、登録免許税の金額はどのくらい変わる?
登録免許税の金額は、不動産の固定資産評価額が高いほど大きくなります。
例えば都市部にある不動産は評価額が高くなる傾向があり、登録免許税も比較的高くなりがちです。
一方、郊外の土地や古い建物などで評価額が低くなると、登録免許税も少額になることがあります。
また、自宅の家屋などを相続する場合、古い建物であることも多いものです。
建物の場合、築年数が経過していると評価額が下がっていて、結果として建物部分の登録免許税は比較的低くなりやすい傾向があります。
ただ、最終的にはきちんと固定資産税評価証明書などの書類を確認し、正確な金額を算出することが大切です。
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●不動産の名義変更手続きの実施
固定資産評価額はどこで確認する? 登録免許税の計算前に準備したい書類

では実際に登録免許税を計算する際、固定資産評価額はどのように確認したらよいのでしょうか。
固定資産評価額は、どの書類で確認できる?
登録免許税を計算するためには、不動産の「固定資産評価額」を確認する必要があります。
固定資産評価額(固定資産税評価額)とは、市区町村が税金(固定資産税・登録免許税など)を計算するために決めている不動産の評価額です。
この固定資産評価額は、主に次のような書類で確認できます。
固定資産評価額を確認できる主な書類
- ・固定資産税の納税通知書
- ・固定資産税課税明細書
- ・固定資産評価証明書(市区町村で取得)
- ・名寄帳(同一所有者の不動産一覧)
固定資産税の課税明細書は、固定資産税の納税通知書と一緒に送られてくる書類で、土地や建物ごとの評価額が記載されています。
固定資産評価証明書は、市区町村役場で取得することができる書類です。
特に、登記申請では「評価証明書」を求められるケースがあるため、事前に必要書類を確認しておくと安心です。
名寄帳は、市区町村が管理している不動産の一覧です。
亡くなった方が所有していた不動産を一度に確認できるもので、被相続人が複数の不動産を所有していた際の確認に有効と言えるでしょう。
相続登記に向けて、あわせて準備したい主な書類
登録免許税の計算に必要な書類を上記でご紹介しましたが、相続登記ではその他にもさまざまな書類が必要になります。
具体的に見ていきましょう。
相続登記で一般的に必要となる書類
- ・被相続人の出生から死亡までの戸籍
- ・被相続人の住民票の除票
- ・相続人全員の戸籍
- ・相続人の住民票
- ・遺産分割協議書(作成した場合)又は遺言書(自筆遺言の場合は家庭裁判所の検認後)
- ・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書の場合)
これらの書類は相続人を確定するためや、誰が不動産を取得するかを証明するためにも使われます。
相続登記は、書類が揃っていないと手続きを進めることができません。
そのため、事前に必要書類を確認しておくことが大切です。
相続登記はどのように進める? 登録免許税を納めるタイミングもあわせて確認

では、相続登記自体はどのように進めればよいのでしょうか。
ステップを追いながら確認していきましょう。
相続登記はどのような流れで進める? 基本の手順を確認
まずは、相続登記について大まかな流れを理解しておくと、手続きが整理しやすくなります。
相続登記の一般的な流れ
- STEP1:被相続人の戸籍を集め、相続人を確認する
- STEP2:不動産の内容を確認する(登記事項証明書など)
- STEP3:遺産分割協議を行い、不動産を取得する人を決める
- STEP4:遺産分割協議書を作成する
- STEP5:登記申請書を作成する
- STEP6:必要書類を添えて法務局へ申請する
登記申請は、不動産の住所地を管轄している法務局に対して行います。
窓口で提出するほか、郵送やオンラインでも手続きを行うことができます。
書類が揃っていれば、通常は申請から1~2週間程度で登記が完了し、登記簿に記載されている不動産の名義が相続人へ変更されます。
登録免許税はいつ必要になる? 納付のタイミングを押さえましょう
では、登録免許税を納付するタイミングはいつなのでしょうか。
登録免許税は、登記の申請と同じタイミングで納付します。
一般的には、登記申請書に登録免許税の金額分の登記印紙を貼って提出することで登録免許税の納付となります。
登記申請の前に、登録免許税の金額を計算しておく必要があるので注意しましょう。
登記申請の前に確認したい、遺産分割や名義の整理
相続登記を進める前に、誰が不動産を相続するのかを決めておく必要があります。
通常、相続人が複数人いる場合は、話し合いを通じて誰がどの財産を相続するかを決めます。
これを「遺産分割協議」と言い、その内容をまとめた書類が「遺産分割協議書」です。
公正証書などの有効な遺言書がない場合、相続登記の申請では、通常この遺産分割協議書を添付します。
また、不動産の名義についても法務局で登記事項証明書を取得し、現在の登記名義人を事前に確認しておくことが大切です。
例えば、名義が祖父母など前の世代のままになっていたり、過去の相続登記が行われていなかったりするケースもあります。
このような場合であっても、事情によっては中間の相続登記を行わず、現在の相続人へ直接名義変更を行うことができることがあります。
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●家を相続したら税金はかかる?相続税・名義変更(相続登記)・相続後をまとめて解説
●相続登記をする際の必要書類と取得方法を解説
登録免許税の免税措置とは? 過去の制度と確認しておきたいポイント

では、相続登記の登録免許税がかからない場合や、免税される場合はないのでしょうか。
登録免許税の免税措置とは、どのような制度だったのか
相続登記の登録免許税には、いくつかの免税措置が設けられています。
これらは、租税特別措置法に基づき、相続登記を促進し、長期間相続登記が行われない土地を減らすことを目的に定められたものです。
登録免許税の免税措置は、原則として時限的に設けられているものが多く、適用期限が定められている点に注意が必要です。
2026年4月現在も運用されている代表的な制度として、相続によって取得した土地の固定資産評価額が100万円以下の場合、相続登記の登録免許税が免税となるという特例があります。
小規模な土地について、相続登記を進めやすくするための制度です。
また、相続登記をしないまま相続人が亡くなってしまい、次の相続人が登記を行うケースでも、一定の条件のもとで中間の相続登記にかかる登録免許税が免税となる制度があります。
いわゆる「数次相続」と呼ばれる状況への対応として設けられています。
例えば、父が亡くなった際、不動産は母が引き継いだのに相続登記を行わず、その後母が亡くなった場合です。
本来であれば、まず「父から母への相続登記」を行い、その後「母から子への相続登記」を行うという、2段階の登記が必要になります。
けれども実際は、このようなケースで子への相続が発生した場合には、一定の条件のもとで、父から母への相続登記にかかる登録免許税については特例によって免税となることがあります。
これらの免税措置は、適用期限が定められている時限的な制度です。
不動産の評価額や相続の状況によって適用の可否が異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
免税措置の対象になったケースと、確認しておきたい要件
登録免許税の免税措置は、すべてのケースで適用されるわけではありません。
例えば、以下のようなケースで免税措置が適用されます。
- ・相続で取得した評価額50万円の土地を登記する場合
- ・数次相続が発生しており、過去の相続登記が未了の土地を登記する場合
これらの免税措置を受けるための代表的な要件は、次のとおりです。
- ・相続による土地の所有権移転登記であること
- ・評価額が一定額以下の土地であること
- ・過去の相続登記が未了であること
- ・制度の適用期限内に登記申請をすること
なお、多くの免税制度は土地の登記のみを対象としており、建物の登記には適用されないのが一般的です。
また、小規模な土地を対象とした制度では、固定資産評価額が一定額(例えば100万円以下など)という条件が設けられており、評価額がそれを超える場合は対象外となります。
免税措置の適用を受けるためには、登記申請書に所定の事項を記載するなどの手続きが必要になることも合わせて押さえておきましょう。
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●遺産分割や相続登記していない不動産に国が警鐘!相続を放って置くのはNG
相続税と登録免許税はどう違う? 混同しやすい内容を整理

ここで改めて、登録免許税は相続税とどう違うのかを整理してみましょう。
相続税と登録免許税は、そもそも何が違う?
相続税は、亡くなった方の財産を受け取った際にかかる税金です。
財産の総額が基礎控除を超える場合に課税されるもので、税務署へ申告して納付するものです。
一方で、登録免許税は登記をする際にかかる税金です。
法務局で登記簿上の不動産の名義の変更を申請するタイミングで納付する税金です。
最大の違いは、税金が何に対して課されているのかです。
相続税は「財産を取得したこと」ですが、登録免許税は「登記という手続き」に対して税金が課されていることを整理しておきましょう。
相続税がかからない場合でも、登録免許税が必要になることが大半
相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。
もし、引き継いだ遺産の総額がこの金額内であれば、相続税はかかりません。
そのため、相続税は実際にはかからなかった、申告が不要だったというケースも多く見られます。
けれども、相続財産の中に不動産が含まれていた場合は、原則、相続登記を行うことになり登録免許税が必要になります。
相続財産が少ないと、税金がまったくかからないと誤解されることもあります。
けれども、実際には登録免許税についてはかかるケースが大半なので注意しましょう。
不動産を相続した時に、あわせて確認したい費用や税金
不動産を相続した場合、登録免許税以外にも確認しておきたい費用があります。
相続の手続きでは、いくつかの実費がかかることがあります。
相続登記や相続手続きでかかる主な費用
- ・登録免許税
- ・戸籍や証明書の取得費用
- ・登記事項証明書の取得費用
- ・固定資産評価証明書の取得費用
- ・専門家へ依頼した場合の報酬
また、相続した不動産を保有し続ける場合は、毎年の固定資産税がかかります。
将来的に売却をして利益が出た場合には、譲渡所得税がかかることもあります。
相続財産が不動産の場合には、取得した時だけでなく、将来的にも別の税金がかかる可能性があることを把握しておくことが大切です。
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●相続税の節税は選ぶ税理士で変わる!申告や対策の方法を税理士法人が解説
相続の登録免許税について、よくいただくご質問

ここからは、実務上でよくある質問をご紹介していきます。
固定資産評価額はどこで確認できますか?
固定資産評価額は、市区町村が決めている不動産の評価額です。
固定資産評価額の確認は、登録免許税を算出する際だけでなく、相続財産を把握して相続税がかかるかどうかを判断する際にも欠かせません。
ただ、普段は意識していない方も多く、「どのように確認したらいいですか?」というご質問をよくいただきます。
固定資産評価額は、以下のような書類で確認することが可能です。
- ・固定資産税の納税通知書
- ・納税通知書に同封されている課税明細書
- ・市区町村で取得する固定資産評価証明書
比較的準備しやすいのが、納税通知書や、納税通知書に同封されている課税明細書です。
これらの書類には土地や建物ごとの評価額が記載されています。
もし、最新の納税通知書や課税明細書が準備できない場合は、市区町村役場で固定資産評価証明書を取得して確認することもできます。
又、過去の相続であっても本年の4月以降に登記の申請をするなら、本年の固定資産評価額を示す書類が必要になります。
土地だけでなく建物も相続する場合、登録免許税はどう計算しますか?
登記簿上、土地と建物はそれぞれ別の不動産として登録されています。
そのため、登録免許税の計算の際は、土地と建物それぞれの評価額をもとに計算します。
土地の固定資産評価額、建物の固定資産評価額をそれぞれ確認し、それぞれに税率0.4%をかけて合計した金額が、登録免許税の総額になります。
昔の相続で名義変更をしていない不動産がある場合、登録免許税はどうなりますか?
過去の相続で名義変更が行われていない不動産がある場合は、まず相続登記を適切に行う必要があります。
名義が亡くなった方のままの状態では、不動産を売却したいと思っても手続きを進めることができません。
また、名義変更をしないまま、何代も相続が行われてしまっているケースもあります。
このような場合には、相続関係を整理して現在の相続人に名義の変更を行うことになります。
ただ、相続人の人数が増えていることも多く、手続きが難航することも珍しくありません。
登録免許税は、原則として相続登記ごとに計算されるため、相続の回数が多い場合には、単純計算で回数分の登録免許税がかかる可能性があります。
ただし、一定の条件のもとで途中の相続登記にかかる登録免許税が免税となる特例が設けられています。
また、小規模な土地については評価額などの条件により免税となる制度もあります。
できるだけ余分な税金を支払わなくて済むよう、事前に確認して進めるようにしましょう。
相続登記や登録免許税でお困りの際は、お早めにご相談ください

相続で不動産を引き継いだ場合、相続のさまざまな手続きを始めなければなりません。
けれども実際には「何から始めればよいのか、自分ではわからない」と感じる方が多いのではないでしょうか。
相続の手続きは、生まれて初めてという方も少なくありません。
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