相続対策・生前対策 Q&A 一覧
生前対策についてお悩みの方からご質問が多かった内容をピックアップしてみました。
Q1.私には子供がいませんが、 私が死ねば、誰が私の財産を相続する権利があるのでしょうか。
A1.
子供がいなくても父母(父母が亡くなっていれば祖父母)がいれば、その人たちが相続します。
父母がいなければ、あなたの兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪)が相続します。
相続手続きをするためには、生きている相続人全員の印鑑がもれなく必要になります。
もし、誰も相続人がいなければ、家庭裁判所が被相続人と特別の縁故関係にあった者(生活を共にしていた人や療養看護を努めた者など)の請求により、遺産の全部又は一部を与え、残りは、国があなたの財産を取得することになります。
国にあげたくない場合や、相続人全員に面倒をかけたくない場合、あるいは、誰か特定の人や団体に財産をあげたい場合は、生前贈与するか、公正証書遺言を残しておくべきでしょう。
詳しくは、★ 遺言が必要なケースなどをご覧下さい。
Q2.子供や孫の名前の預金に長年に渡って現金や預金の贈与をしてきました。税理士や銀行、JA、郵便局から年110万円以下なら何も問題ないと聞いていますが本当でしょうか?
A2.
名前を変えているだけで贈与が成立しているとの指導は誤っており、それが元で、相続後の遺産分割や相続申告後の税務調査で
深刻な問題が生じています。
贈与は、渡しきってはじめて成立するものであり、単に名義をかえているだけではトラブルの元になってしまいます。
現に弊社には、相続申告後の税務調査で指摘され、申告を担当した税理士と責任のなすりつけ合いのあげく相談に来られる方が多くいらっしゃっています。
これまでにしてきた贈与について、生前中に今一度見直し、税務署から否認されないかチェックや相談をオススメします。
- 詳しくは、
- ★ 贈与が否認されないために
- ★ 実質所有者(贈与成立)判定シート
- などをご覧下さい。
Q3.相続税対策として養子縁組をするという話をよく聞きますが、本当に相続税対策になりますか?
A3.
相続人が増えると、
相続税の基礎控除枠、生命保険金・退職手当金の非課税枠が増える、
相続税の税率が下がる、
一代飛ばして相続させられる、
などのメリットはあります。
しかし、民法上はありませんが、相続税計算の際は養子の数に制限があります。
実子がいる場合には一人、実子がいない場合には二人までしかカウントされません。
また、孫養子が実際に相続した場合は、その孫の相続税は他の相続人に比べ20%アップとなります。
例えば、土地や自社株などだけ相続させたのでは納税できなくもなるわけです。
養子縁組は、両当事者の意思能力も問われるので早目が良いのですが、相続発生時に孫養子が未成年の場合は、遺産分割協議にも支障をきたすので、弊社では、孫養子相続を計画する際には、遺言とセットで財産配分については特に留意しています。
Q4.養子縁組は相続税の税金対策にしか使えませんか?
A4.
相続税対策だけではなく、お嫁さんに相続させることや一代飛ばしで孫に相続させることもできます。
弊社でも、実子が既にそれなりの財産をお持ちの場合は、そのような財産配分の提案は致します。
その場合の注意点は
- ① お嫁さんが遺産相続されても、その他の実子はヘソを曲げないか?
- ② 孫が若すぎないか?
- などでしょう。
他方、いささか不謹慎ではありますが、遺産分割対策や遺留分対策になることも事実です。
(もちろん、それを目的だけに養子縁組することはいただけません。)
例えば、兄弟2人のみが相続人とすれば、兄の子供1人を養子にすることによって、弟の法定相続分は、1/2から1/3に減り、
遺留分は、1/4から1/6に下がります。
それでも弟さんの法定相続分や遺留分は消えないので、超不公平な財産分けをする事情があるのであれば、遺言とセットでしょう。
Q5.孫との養子縁組を考えています。私の養子になったら、私の子供と孫の親子関係は無くなってしまうのでしょうか?
A5.
親子関係は無くなりません。
相続権でいうと、お孫さんは、
- ① あなた方ご夫婦の相続人という身分
- ② あなたのお子様の相続人という身分 の
二重の相続人となります。
両方と親子関係を持つことになります。
あなたとお孫さんとの姓が違う場合は、養子縁組により、あなたと同じ姓を名乗ることになります。
一方、養子縁組後に、孫養子やその親との関係が悪化して「離縁」するときには少し厄介になります。
養子が未成年のうちは、家庭裁判所で許可が必要ですし、成人していれば、養子の同意がないと離縁はできなくなります。
トラブルとしては、息子夫婦が離婚し、嫁が孫を連れて家を出るケースなどです。
弊社では、養子縁組については節税効果だけでなく、孫の年齢や息子さん夫婦の関係などのリスク要因にも留意した上で助言しています。
Q6.相続税がどれくらいになるか心配です。どれくらいになるか試算できますか?
A6.
不動産は固定資産税の課税明細や住宅地図上での場所特定、金融資産は現在のおおよその保有額などを元に、簡易的な試算をすることができます。
その際に、弊社では、次の5点も必要に応じてコンサルティングしています。
- ① 路線価より土地評価が随分下げらそうか
- ② 生前贈与を否認されそうな、いわゆる名義預金は無いか
- ③ 税務署から、ご主人の財産と決めつけてこられそうな奥様のヘソクリは無いか
- ④ 今後のご夫婦の生活費を考慮した上で、一次相続(1次相続)と二次相続(2次相続)のトータルで最も相続税が安くなる財産配分はどの程度か
- ⑤ 相続税の節税対策や、お子様達への財産配分と遺言相談
- などです。
詳しくは、★ 相続ステーションの相続対策メニュー などをご覧下さい。
Q7.お金を借りると相続税が安くなるというのは本当ですか?
A7.
相続税は財産から借入金などの債務を差し引いた残りに課税されます。
しかし、お金を借りたことより預金という財産が増えてしまえば、相続税額は何も変わりません。
つまり、借りたお金の使途や目的が大切なのです。
- 例えば、
- ① お金を生んでいない土地を活かす為に、収益性の良い建物を建てる
- ② 値の上がりそうな上場株や自社株を買う
- ③ 将来の為に自宅や賃貸マンションの修理を先にしておく。
- などです。
この中で、相続税節税効果が期待できるのは、①と③ですが、
①は、長きに渡る収益性の良さが大切ですし、
③については、ムダな修理は本末転倒です。
専門家以外の言っていることも鵜呑みは要注意です。
Q8.死亡保険金の受取人は、相続後に負担の大きい人にすべきなんですね。すでに契約している保険についても変更できますか?
A8.
死亡保険の受取人については、よく相談を受けます。
よくあるケースは、
- ① 母1人にしている
- ② 妹や弟にし、それらだけで遺産分けを済ませたつもり
- ③ 死亡保険金の非課税枠が 法定相続人数×500万円なので全員に各500万円にしている
- ④ 保険契約1本で兄弟妹の3人連名で割合指定で受取人にしている
- などです。
遺産配分や争続防止のつもりであれば、これらは全て正解とは言えません。
死亡保険なら遺言によって変更することもできますが、遺言の書き方や保険会社の内規次第では変更できないこともあるので、
やはり、生前中に保険会社と受取人変更手続きを完了させておく方が安心でしょう。
まずは、
★ 遺産分割対策・納税対策としての保険活用法
をご覧下さい。
その上で、お客様ごとにベストな受取人を決めましょう。
Q9.保険の契約者の名義を妻にすれば、私の財産ではなくなるのでしょうか?
A9.
いくら契約者の名義が妻に変更していても、一括払い込みなど保険料の負担者が夫であることが、税務署に知られてしまえば、ご主人の「生命保険契約に関する権利」として、ご主人死亡時の解約返戻金相当額が相続税の対象とされてしまいます。
保険セールスの中には小手先の助言のつもりで生命保険の契約者さえ変えておけば、ご主人の相続税対象から切り離せると言っている人も
居るようですから、ご注意ください。
死亡保険契約だけでなく、妻契約・妻受取の個人年金保険契約も要注意です。
↓
妻が保険料を払っていなければ、妻が年金を最初に受け取った時に、夫から妻へ、今後受け取る予定の総額を基礎とした一定額が一括贈与とみなされ、妻に贈与税課税の上、妻は毎年、雑所得として所得税の申告が必要になってしまいます。
気になる方は、根拠の無い安心よりも死亡保険や個人年金保険の受取前のご相談をオススメ します。
詳しくは、
★ 国税庁ホームページ 「生命保険契約について」 (←別ウィンドで開きます。)
★ マイナンバーが相続税や贈与税の税務調査に及ぼす影響
などをご覧下さい。
Q10.子や孫の名義で保険を契約しています。この保険は契約者の財産になるのでしょうか?
A10.
保険契約は、実際に保険料を負担していた人の財産になります。
親の財産を減らそうとして名義だけ変えても、名義人の財産にはなりません。
弊社では、生前贈与を成立させて、保険契約そのものを子や孫の財産にするために、
まず、
- ① 子や孫の自己筆跡で作った預金口座に、父や祖父が保険料相当額を振込み贈与し、
- ② そこから、子や孫自らが契約した生命保険契約の保険料を自動引き落としする。
- という方法をオススメ しています。
詳しくは、★ 相続対策としての保険活用法をご覧ください。
Q11.父が経営している会社へ、父がお金を貸しています。貸付金も相続財産になりますか?
A11.
貸付金だけでなく、未払給料や未払地代家賃も相続財産になります。
特に多いのが、顧問の税理士が相続対策にうとく、同族会社への貸付金や役員への未払給料・未払地代で、の額も知らないうちに帳簿上だけどんどん増えているケースです。
会社の側からこの先も支払えない可能性が高いなら、せめてムダな相続税をはらわなくてもいいようにしたいものです。
解決方法としては、
- ① 貸している側から会社宛に内容証明郵便で「債権放棄」の意思表示をしておく
- ② お金のかわりに会社名義の不動産や動産で「代物弁済」してもらう
- ③ 資本金に振り替える「DES」
- があります。
しかし、どの方法にも注意点がありますので、不慣れな顧問などの助言で安易には行わない方が良いでしょう。
詳しくは、
★ 事業承継対策の落し穴
をご覧ください。
Q12.父が経営している会社の株価がいくらなのかわかりません。
A12.
非上場会社の株式は、上場株式と違って流通がなく取引相場がありません。
会社の規模や従業員数、その会社の支配権の有無により評価は違います。
相続が始まるまで前もって株価や相続税の計算を行い、評価が高ければ評価を下げる対策や納税対策、支配権維持の為の争続対策も
早目に済ませておきたいものです。
どの対策も複数ありますが、それぞれ注意点がいっぱいです。
昨今は、長年おこなってきたハズの自社株の生前贈与の否認も散見されますので、念の為、弊社のようなセカンドオピニオンでの再チェックをオススメ します。
又、
納税対策としては、「自社株の納税猶予」も有効ですが、事前に体制を整えておくことが肝要です。
詳しくは
などをご覧下さい。
Q13.私は1人暮らしで、このままだと将来が不安です。私の財産は長男に任せられたら安心なのですが・・・
A13.
自分に判断能力があるうちに、判断能力が低下した時に備えて、あらかじめ財産管理をしてくれる人を決めておくことができる方法が2つあります。
- 1つは、「任意後見契約」と言います。 2つめは、「家族信託」(民事信託)と言います。
- 任意後見契約は、公証人が作成する公正証書により頼む側と頼まれる側が契約しておく必要があり、かつ、法務局でその契約内容の登記が行なわれます。 後見の開始はあくまでも意思能力を欠いてからです。
- 家族信託は、家族の中から財産管理運用の担当者を決めておいて、予め定めたタイミングからその人に任せる方法です。 どちらの方法も一長一短あるので、弊社では、お客やご家族・財産状況を踏まえ、ご提案するようにしています。
詳しくは、
★ 将来の認知症が心配の方
★ 家族信託で財産管理
などをご覧ください。
Q14.贈与は誰にでもできますか? また、次の場合、贈与税が心配です。教えてください。
【1】 来月、子供が結婚するので結婚式場代をだしてあげようと思います。但し、金額が高額になるので贈与税が心配です。
【2】 孫は私立の医学部に進学することとなったので、学費を出してあげようと思っています。普通の学部より学費は高額になりますが、贈与税は大丈夫でしょうか?
A14.
まず、贈与する相手は民法において一切制限されていませんので、巷にある 「 ○○贈与信託 」 などは、次の簡単な注意点さえおさえておけば、無用の長物 と思われます。
個別のケースについてお答えします。
① 結婚式場代について贈与税はかかりません。
冠婚葬祭に使う費用で常識的な出費であれば
直接式場などに振込み支払いさえすれば、問題ないと思われます。
② 歯学部の学費ですが、ご安心ください。
もともと孫などにかかる学費などには、贈与税はかかりません。
但し、“2年分の学費を先に渡しておく”といってお金をあげると贈与税がかかる可能性が
あります。 大学や学校の規定次第ですが、お孫さんにお金をあげるのではなく、
直接、かつ請求の都度支払うのがコツです。
他方、孫の教育資金をいくら出してあげても、その孫の親への生前財産配分にはならないので、「相続時にその親は相続を主張しないだろう。」は通用しませんので、ご注意ください。
Q15.孫の大学の学費を出してあげたいのですが、認知症が心配です。 認知症になっても確実に支払う方法はありますか?
A15.
祖父母が健常なうちの支出は、A14.に書いている通りですが、認知症になってからの支出方法は次の2つになります。
一つはいわゆる、「 教育資金贈与信託 」 を使うこです。
1500万円まで贈与できますが、一括で支払うことや支払先に制限があることと、毎年領収書を契約した金融機関窓口に提出し、30歳までに使い切らなければ贈与税がかかりますので、面倒さは否めません。
もう一つは、“信託”の契約をご家族と結ぶ 「 家族信託 」 です。
但し、契約にはコツもありますので、ノウハウのある弊社や専門にしている司法書士・弁護士とよく相談して行う方がいいでしょう。
詳しくは、
★ 家族信託で財産管理
などをご覧ください