養子縁組の活用で相続税の節税と注意点や制限について。解決事例も

養子縁組は跡取りを増やすだけでなく、争族における遺留分対策や相続節税の副次効果もあります。養子の数は相続税法では制限されていますが、民法には制限はありません。当事務所では正しい知識に基づく対策を提案しています

養子縁組で相続税の節税と争族対策になる活用提案と実施

養子縁組で相続節税と争族対策

ご相談者様の状況

相続人は、娘一人。基礎控除額は3600万円。税率ステージ30%で、相続税額は1382万円。
相続税の事を心配して、相談にこられました。

相続財産は、大阪市内の土地と建物と金融資産の合計1億540万円です。

相続ステーションの提案内容

相続人が娘一人しかいないため、娘の子供を養子縁組し、基礎控除を3600万円→4200万円に。
死亡保険に加入していなかったため、合計1000万円の死亡保険に加入し、非課税適用を受ける ようにした。
結果、相続税の税率ステージが30%→15%に変更し、相続税は771万円になり(相続分は半分ずつ。孫養子の相続税は2割増し)、611万円の相続税を減額することができた。

相続ステーションの実際の提案による変化

解決後の相談者の状況

自分では養子縁組をした場合の具体的なことがわからないので、専門家に頼んで数字が大きく変わる事に驚かれていました。

また、高齢者でも入れる保険を提案してもらい、1000万円分の遺産を非課税にできたことにも驚かれていました。

相続税の節税を目的とした『養子縁組』は有効?

最高裁で養子縁組に関する判決が2017年(平成30年)1月31日に出ているのをご存知でしょうか?

相続税の節税を目的とした『養子縁組』は 是 or 非 が問われた裁判です。

今回の最高裁の判決では「相続税の動機と縁組をする意思とは併存しうる」とし、相続税の節税を目的とした養子縁組を認めました。

養親となる方の意思能力がハッキリしていることが前提であることは言うまでもありません。

他方、相続税法63条に「相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、養子の数を否認」という条文は廃止されていないので、相続節税目的の養子縁組には若干のリスクは残っていることはご承知ください。

関連ページ
『養子縁組』による節税効果については・・・生前対策Q&Aの Q3.をご参照
『養子縁組』による遺産分割対策効果については・・・生前対策Q&Aの Q4.をご参照
養子がいるときの相続税額の計算 /相続税の基本計算(法定相続人を把握・基礎控除・法定相続分・非課税財産)

養子の制限について、誤解されていませんか?

養子縁組について誤解されている方が案外多いようです。

税法上は実子が居る場合は養子の数を基礎控除対象などに追加できるのは一人に限られますが、それは、税法特有の制度です。


民法上の法定相続分や遺留分計算の際は養子の数に税法の様な制限はありません。

つまり、養父母となる人が意思能力があるうちであれば、養子縁組はまだまだ使える対策であるということです。

養子縁組の注意点

まれに養子縁組後に、養子(又は養子の実父母)と養父養母が財産面や感情面でもつれる
ことがあります。

今まで弊社であった実例は、長男の子(つまり孫)を節税目的で養子に入れていたけど、ご長男がお嫁さんと離婚することになったケースや娘婿を養子に入れていたけど数年後に“鬼婿”化し、浪費もしてしまったケースでした。

養父母は養子さんと養子解消をしようとしました。
しかし、養子さん(養子が15歳未満のときは法定代理人)が「養子縁組届」に同意してくれません。
そうなれば家庭裁判所に「養子縁組の調停申立」が必要になります。

「 結ばれるに易し、別れるに難し 」です。
養子縁組も節税効果だけで考えるのではなく、候補者やその周辺の人物性なども考慮される
ことをオススメします。

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