遺産相続をめぐって絶縁した兄弟との適切な対応は?

兄弟の相続についてよくいただくお悩み

自宅を兄弟の両方が相続したがっている・・・

弟に財産を相続させたくない・・・

親が死亡する前にできる対策は・・・

上記のようなお悩みをよくいただきます。

争いたくない兄弟との相続について、それぞれの家族のため皆様自信の家族のためにお早めに専門家に相談するのをおすすめいたします。

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兄弟の相続についてよくいただくお悩みへのアドバイス

自宅を兄弟の両方が相続したがっている

兄弟で共有することはできますが、売却前提や兄弟のどちらかが生涯独身でない限り、兄弟の共有相続は、お勧めはできません。

兄弟双方に配偶者や子どもがいる場合は、兄弟のどちらかが死亡していく都度、更に共有者が増えていく可能性が高いからです。
(親子2人だけの共有相続は遺言を親が書くこととセットなら良いと思います。)

どちらかが自宅を全部相続して、自宅の価値の半分に見合う金銭などをもう一人に渡す 代償分割 という分割方法を検討することが多いです。

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弟に財産を相続させたくない。親が死亡する前に手続きしておきたい

相続の放棄は死亡後にしかできません。

それも口頭や私文書ではなく、相続発生後に弟さん又は、その代理人が家庭裁判所で正式に、「 相続放棄の申述書 」 という書類を提出して、はじめて放棄したことになり、一切の書類にその放棄者の署名・押印が不要になります。

これに対し、「 遺留分の放棄 」 は、生前に行うことができますが、こちらも弟さん又はその代理人が家庭裁判所に「 遺留分放棄の申述書 」 という書類を提出しなければなりません。

ただ、これはあくまでも“遺留分の放棄”であって、“相続の放棄”ではないので、遺言がない限り、相続発生後には何かつけて弟さんの署名・押印が必要になります。

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兄弟の相続の解決事例

土地評価が遺産分けの明暗を分けたケース
⇒ 土地評価を税理士が下げられないと、その土地を相続した人の相続税額が高くなるので、預金も多く相続する必要(納税資金の為に)が出て来ます。
反面、兄弟からは「高い土地と預金も多くとは厚かましい!」と対立してしまいます。
弊社では、上記を踏まえ当局に指摘されるギリギリまで土地評価は下げるように心掛けています。


遠方居住や疎遠になっている兄弟姉妹がいたケース
⇒ 普段、コミュニケーションがとれていない人や親の面倒を見ていない人でも遺産の法定相続分を主張される場合も少なくありません。
弊社では、先ずは早目に遺産分けについての本音をヒアリングされることをオススメしています。併せて、嫁・婿による遺産分けへの口出しはお互いの為にもできるだけ抑えられるよう申し上げています。


親の世話をしないのに法定相続分を主張してきた兄弟姉妹がいたケース
⇒ 親の世話を全くしていなくても法定相続分は主張できます。
理想は、お世話による「寄与分」を遺言で明記しておいてもらうことがベストです。
遺言がない場合は、できる限りお世話部分を書き出して相続人に提示できる準備をしておくことをオススメしています。少しでも心の通った遺産分割になればとの思いです。

不動産の共有相続は避けたい
⇒ 兄弟姉妹との共有相続は、将来に兄弟姉妹の子供同士でのトラブルの元になります。
弊社では、「代償分割」(1人が不動産を相続し、代わりにその人が他の相続人にお金を渡
す方法)や「分筆相続」(土地を左右などに分筆してから相続)、「換価分割」(共有相続の
後に即、売却)などの方法を駆使してできるだけトラブルの火種を残さない遺産分割の助言に努めています。

兄弟の相続の争い

遺言は“もめごと防止”の為だけではありません。しっかり作り込めば相続発生に伴う遺産の凍結共有等の防止ができるのです。

自筆遺言は筆跡や意思能力を巡ってトラブルになりがちですが、公正証書遺言は効力が強く、又、公証役場が無料で半永久的に保管し、再発行もしてくれるので安心です。

特に、次のような方は遺言の必要と言えるでしょう。

●居宅など事業用地・自社株など特定の財産を特定の人に相続させたい場合

●各人が相続税の納税で苦労しないようにしておきたい場合

●不動産賃貸収入がある場合や借金が残りそうな場合

●相続人の中に認知症になりそうな人や未成年者がいる場合

●相続人の中に遠くに居住、決断が遅い等で時間のかかる人がいる場合

●相続人の中に権利意識の強い人、ローンを抱えている人、養育費が必要な人がいる場合

●孫や甥・姪など法定相続人以外の人に財産をあげたい場合

上場株投信でなど時価変動する資産が多い場合

介護などで世話になっている子や嫁に寄与分として財産をあげたい場合

貸金庫を借りている場合

子供がいないご夫婦や先妻・先夫との子供・婚外子がいる場合

●相続させたくない相続人がいる場合

孫名義にしている預金等で贈与が否認されそうなものがある場合

●教育資金贈与信託で財産配分をしたつもりになっている場合
(教育資金贈与は(次男の)孫に対する贈与であり、相続人である次男さんに対する贈与(特別受益)ではないからです。)

公正証書遺言は、ご自宅や病院、老人ホーム内でも作成可能ですが、
ご本人の意思能力(介護日誌は要注意)が確かな間でなければ成立しません。
お早めに。

遺言の“健康診断”を承っております。
相続税増税が決まったH25年より前に作成済みの方は配分の再検証がベターです。


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遺産相続の割合は?トラブルにならないために兄弟姉妹の法定相続分や解決方法について

遺産相続をめぐって絶縁した兄弟との適切な対応は?

法定相続人とは、民法で定められた相続の権利を持つ人のことです。
兄弟姉妹が法定相続人となる相続では、遺産をめぐったトラブルが起こることがあります。
もちろん、もめることなくスムーズに相続の手続きが進むケースも多くありますが、中には、絶縁状態になるほど関係が悪化してしまうケースもあるのです。

しかし、すべての法定相続人が揃わない状態では、遺産相続の手続きを進めることができません。
状況によっては、弁護士や税理士などの専門家に相談する、裁判所(家庭裁判所)に申立てを行うといった対応が必要になります。

今回の記事では、兄弟姉妹が相続する場合のトラブルについて、対処方法や生前対策を詳しく解説します。

遺産相続をめぐって絶縁した兄弟とやり取りをする時の対処法

遺産相続をめぐって絶縁した兄弟とやり取りをする時の対処法

幼い頃は一緒に過ごした兄弟姉妹でも、大人になりそれぞれの生活を送るようになると、意見に違いが出てくることは珍しくありません。

「長男が相続することに決まっていたのに、次男も遺産をもらう権利があるはずだと言い出した」
「実家の事業を長男に継がせる代わりに相応の金額が欲しいと長女が言ってくる」

それまでは深く考えていなかったものの、相続が現実になってお互いの主張がぶつかり合うというのはよく聞く話です。
相続前の仲の良さには関係なく、相続をめぐって話がこじれ、絶縁状態になってしまうこともあるでしょう。

しかし、それでも遺産相続が生じたら、法定相続人にあたる人とは連絡を取らないわけにはいきません。
なぜなら、法定相続人の誰かが欠けた状態では遺産相続を進めることができないからです。

絶縁しても同意なしでは勝手に相続分を決めることはできない?

絶縁しても同意なしでは勝手に相続分を決めることはできない?

まず、遺産をめぐる権利について解説しましょう。

相続では、被相続人が亡くなったことを知った日を相続開始日としています。
そして、相続開始の翌日から10ヵ月後には、相続税の申告と納税をする必要があるのです。
相続の権利を持つ人は、申告期限までにどのような財産があるのかを調査して、遺産分割を行って、相続税額を計算しなければなりません。

では、相続開始から遺産分割が終わるまでの間、遺産は誰のものなのでしょうか。

相続財産は法定相続人の共有財産

被相続人の所有財産は、すべて法定相続人に継承されます。
法定相続人が1人ならば、話は簡単です。
しかし、複数人数の法定相続人がいる場合は、「相続財産は法定相続人全員の共有財産である」と法によって定められています。

つまり、分割についての話し合いが終わるまでは、相続人全員が所有権を持っている状態になるのです。
そのため、たとえ遺産の一部であっても誰かひとりの判断で勝手に処分するわけにはいきません。

兄弟姉妹が相続権を持つケース

次は、相続の権利の問題です。
民法では、被相続人の財産を相続する権利を持つ「法定相続人」についても、下の一覧のように範囲と順序を定めています。

順序 被相続人との関係
常に 配偶者
第1順位
※相続開始時に子供が死亡している場合は、直系卑属(孫、ひ孫)
第2順位 父母
※相続開始時に両親とも死亡している場合は、直系尊属(祖父母、曾祖父母)
第3順位 兄弟姉妹
※相続開始時に兄弟姉妹が死亡している場合は、甥姪

上記のことから、兄弟姉妹が法定相続人になるには、次の2パターンが考えられます。

兄弟姉妹①:被相続人の子供が複数いるパターン

被相続人の子供は、優先的に法定相続人です。
子供が複数いる場合の権利は平等で、長男だから、次男だからと、生まれ順や年齢によって特別な差がつくことはありません。

兄弟姉妹②:被相続人自身の兄弟姉妹であるパターン

被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になるためには、被相続人に子供、孫、ひ孫が1人もいないこと、両親、祖父母、曾祖父母が1人も生存していないことが条件になります。
先ほどもご説明したとおり、兄弟姉妹間の権利は平等で、生まれた順や性別によって有利になることはありません。

上の①②のどちらのパターンだとしても、法定相続人には被相続人の財産を承継する権利があります。
いくら絶縁するほど仲が悪い相手だとしても、法律で認められている権利を侵害するわけにはいきません。

遺産分割協議をする場合

遺言書のない相続では、遺産の分割方法については法定相続人に委ねられています。
誰がどのくらい遺産を相続するのかということを、相続法定相続人同士が話し合って決めるのです。
この話し合いを「遺産分割協議」といい、次のような注意点があります。

①法定相続人の全員が参加すること

1人でも法定相続人が欠けていた場合、その遺産分割協議は無効となります。

とはいえ、全員が同じ場に集まることまでは必要はありません。
顔を合わせたくない相手がいる場合や同席を拒否された場合などは、電話やメール、オンライン会議ツールなどを使って、全員が協議内容を共有できる工夫をすると良いでしょう。

②法定相続人の全員の合意を得ること

遺産分割協議は、被相続人が遺した財産をどのように分割すれば全員が納得できるかを話し合う場です。
法定相続人全員の合意が得られるのなら、どのような相続割合で分割してもかまいません。

しかし、全員が合意にいたらない場合は協議不成立となり、家庭裁判所の調停や審判を申し立てて、合意の実現を目指します。
この時の遺産分割方法は、法によって定められた法定相続分に従うことが一般的です。

●法定相続分

法定相続人の組み合わせ 配偶者
(直系卑属)
父母
(直系尊属)
兄弟姉妹
配偶者のみ 全部 - -  - 
子のみ -  全部 -  - 
父母のみ -  -  全部 - 
兄弟姉妹のみ -  -  -  全部
配偶者と子 2分の1 2分の1 -  - 
配偶者と父母 3分の2 -  3分の1 - 
配偶者と兄弟姉妹 4分の3 -  -  4分の1

兄弟姉妹が複数いる場合は、さらに割合を等分します。
例えば、配偶者と兄弟姉妹3人が相続するケースでは、兄弟姉妹のうち1人あたりの相続割合は「4分の1×3分の1=12分の1」になるというわけです。

③「遺産分割協議書」を作成すること

遺産分割協議が成立した場合は、話し合いの結果を記した遺産分割協議書を作成します。
決まった様式はなく、手書きでもパソコン等を利用して作成してもかまいませんが、下記の4点は必ず記載しましょう。
・被相続人の氏名、死亡時の住所、死亡日
・分割する相続財産の詳細
・相続人全員が合意しているということ
・相続人全員の氏名、住所、実印の押印(実印の印鑑証明書を添付)

トラブルを起こさないために準備できる生前対策とは?

トラブルを起こさないために準備できる生前対策とは?

被相続人の立場として、自分の死後、相続が原因で起こり得るトラブルを防ぐために生前にできる対策は、「遺言書を作成すること」です。

遺言書がない場合は、法定相続人全員が参加して遺産分割協議を行いますが、遺言書がある場合は基本的に遺言書に従って遺産分割を進めていきます。
そのため、仲が悪い兄弟姉妹の相続分を予め被相続人が決めておくことで、争いを避けることができるのです。

以下に、より効果的な遺言書にするために注意すべきポイントをまとめました。

ポイント①リスクの低い遺言書を作成する

遺言書には決まった方式があり、不備があると法的に無効となる点に注意が必要です。
無効リスクの低い安心な遺言書を作成するために、主な方式2種類の概要と注意点を紹介します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者(被相続人)が遺言全文、日付、氏名を自書し、押印して作成した遺言書です。

保管先 ・遺言者自身又は、相続人や遺言執行者が管理
費用 ・基本的には無料
家庭裁判所の検認 ・そのまま(封印している場合は未開封のまま)家庭裁判所に提出し、検認を受ける必要がある

紙と筆記具があればすぐに作成できる半面、書き方が適切でないものや法的に無効な遺言書になるおそれもあります。
また、保管方法によっては遺族が見つけるまでに時間がかかったり、都合の悪い遺言書を隠匿したり改ざんしたりというリスクもあるでしょう。

●法務局の自筆証書遺言保管制度
法務局の基準を満たす遺言書を、遺言者自身が法務局に事前予約をして持込み、法務局がデータ化して保管してくれるという制度です。
紛失、改ざん、隠匿リスクがなくなる上、検認も不要となるため速やかな執行が期待できます。
また、被相続人が指定した法定相続人を対象として、遺言があることを通知してくれるという点も、大きなメリットのひとつです。

ただし、保管手数料として一律3900円がかかります。※2022年(令和4年)時点の料金

公正証書遺言

公正証書遺言書は、証人2人立ち会いのもと、遺言者が遺言内容を公証人に口授して作成する遺言書です。

保管先 ・原本を公証役場にて保管
・全国の公証役場から検索システムが利用できる
費用 ・遺言で扱う財産額に応じた金額
[手数料:「公証人手数料令」という法律に基づいて公証人が決定]
家庭裁判所の検認 ・不要

法律の知識を持つ公証人が間に入るため、方式不備や法的に無効となるリスクが低いですが、遺産配分や掲載もれ財産、相続税についての助言は無いので注意が必要です。
完成した遺言書の原本が公証役場に保管されるため、紛失、改ざん、隠匿リスクもありません。
遺言者自身が筆記する必要がないため、病気やケガ、加齢などで自書が難しい人でも作成できます。

遺産額によっては手数料が高くなりますが、遺言書を作成する上で安全な方法です。

ポイント②財産配分や相続税に注意が必要

相続割合が不公平であったり、法定相続人以外に遺産を渡したりしていても、ひとまずは遺言書の内容が最優先です。

ただし、法定相続人には最低限取得できる遺産割合である「遺留分」が認められています。
遺言によって本来取得できるはずの遺産がもらえず、取得遺産額が遺留分を下回る場合、法定相続人は不足分を請求することができるのです。

●遺留分侵害額請求
遺留分侵害請求は、遺留分を下回った分と同額の「金銭」を支払うように請求することができ、支払いに応じない場合は調停への申立てを行えます。
請求相手は、遺言によって財産を遺贈された人や被相続人からの生前贈与を受けた人というわけです。

せっかくの遺言が別の紛争を招いてしまわないように、遺留分には十分配慮をしましょう。

●遺留分
法定相続人の組み合わせごとの遺留分割合は、下記のとおりです。

法定相続人の組み合わせ 配偶者
(直系卑属)
父母
(直系尊属)
兄弟姉妹
配偶者のみ 2分の1
子のみ 2分の1
父母のみ 3分の1
兄弟姉妹のみ なし
配偶者と子 4分の1 4分の1
配偶者と父母 3分の1 6分の1
配偶者と兄弟姉妹 2分の1 なし

被相続人の子供が法定相続人のケースでは、該当者が複数いる場合はさらに均分します。
例えば、「法定相続人が子供(兄弟姉妹)4人」のケースの遺留分は「2分の1×4分の1=8分の1」となり、遺産が1億円の場合では1人あたり1250万円という計算です。

しかし、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人のケースでは、遺留分は認められません。
つまり、被相続人の配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になるケースでは、「配偶者にすべて相続させる旨」の遺言を作成しておくことで、無用な争いを回避できるということです。
相続税の納税や共有相続にならないような配分、名義変更が実現可能な内容にすることも重要です。
又、遺言書を作成した時点の預金や株の残高増減、金融機関の統廃合があった場合にも再作成しなくてもいいような書き方にも注意しましょう。

遺言書で指定できること

遺言書は、被相続人の最後の意思を伝える手段として、様々な効力を持っています。
何ができるのかを理解した上で、遺族や法定相続人が争わずに済むような遺言書を作ると良いでしょう。

遺言書の効力のうち、主なものは次のとおりです。

●相続割合の指定、分割方法の指定
兄弟姉妹の相続割合や分割方法を指定できます。
例えば、不動産があるにもかかわらず、「全財産、長男と次男は4分の1ずつ、長女に2分の1」としてしまえば全て共有相続になってしまうので、例えば、「不動産は長男、有価証券は次男」のように具体的に相続する物件を指定することも大切です。
遺留分を侵害しない範囲であれば、法定相続分にこだわる必要はなく被相続人が自由に指定できます。

●遺贈先の指定、寄付先の指定
仲が悪い兄弟姉妹に渡すくらいならと、法定相続人以外の人に財産を渡すことや公共機関などに寄付をすることも可能です。
ただし、遺留分には注意しましょう。

●遺産分割の禁止
5年を限度に「遺産分割そのものを禁止」することで、兄弟姉妹が冷静に考える期間を設けるというのもひとつの手段かもしれません。

●相続人の廃除
被相続人に対して虐待や侮辱を加えた人、著しい非行がある人については、遺言によって相続権を剥奪することができます。
仲が悪く遺産を渡したくない兄弟姉妹のうち、廃除条件に該当する人がいる場合は、廃除の旨を遺言に記すと良いでしょう。

ただし、廃除された法定相続人の相続権はその子供や孫に代襲されることになる「代襲相続」があるため、家族ぐるみで仲が悪い場合は注意が必要です。

相続放棄は相続開始後にしかできない

兄弟姉妹のうち、特定の人に財産を継がせたい、あるいは特定の人には継がせたくないと考える場合は、「前もって相続放棄させておきたい」と思うこともあるでしょう。
しかし、相続の放棄は、実際に相続が開始してからでないとできません。
例えば「相続を放棄します」という念書を取っておいたとしても法的には無効なため、「やっぱり相続したい」と言い出されれば拒否できないのです。

●相続放棄をする場合
自分が法定相続人の立場で、兄弟姉妹と揉めるくらいなら相続を放棄したいという場合は、相続発生後に次の流れで放棄の手続きが行えます。
①放棄しようとする人が自主的に家庭裁判所で「相続の放棄」の申述を行う
②家庭裁判所から相続放棄の申述受理の連絡を受けたことを、他の兄弟に連絡する
※相続放棄受理の証明書発行を家庭裁判所に申請することも可能

相続の放棄は、相続開始から3ヶ月以内に申述する必要がある点に注意しましょう。

分割しにくい遺産の対応に備える

主な相続財産は自宅家屋と土地で、法定相続人が複数の兄弟姉妹だというケースは、トラブルに発展しやすく、注意が必要なケースです。
不動産は分割がしにくく、兄弟姉妹の取得額に差が出るため不公平感を生みやすいでしょう。
売却して現金化してから分割する方法もありますが、被相続人と同居していた長男が自宅に住み続けている場合などは簡単に売却するわけにもいきません。
またその一方で、一般的に価値が高い財産である土地を相続した場合は、相続税額も高い可能性があり、相続する立場の負担も重くなりがちです。

そういったケースでは、遺言と併せて生命保険を利用する方法があります。

●生命保険死亡保険金の非課税枠を活用
生命保険の死亡保険金を法定相続人が受け取る場合は、下記の非課税枠が適用されます。

・非課税限度額=500万円×法定相続人数

つまり、兄弟姉妹4人が法定相続人のケースでは「500万円×4人=2000万円」が非課税になるというわけです。
この2000万円の内訳は、どのように分けてもかまいません。
例えば、長男に自宅を継がせる代わりに、他の3人には死亡保険金が650万円ずつ支払われるという契約にするというのはどうでしょうか。
端数は、長男の相続税納税費用にするのも良いでしょう。

あるいは、「長男に自宅不動産、次男には預貯金や家財、三男には株・投資信託」と金額的なバランスを調整することも可能です。
各々の財産状況や家族構成に合わせて検討するだけの価値があるでしょう。

兄弟姉妹と連絡が取れない場合はどうなる?

兄弟姉妹と連絡が取れない場合はどうなる?

兄弟姉妹と仲が悪く交流が途絶えているものの、連絡先がわかっている場合は記録が残る方法で連絡を取ることをおすすめします。
口頭だけのやりとり、自分と相手の2人しか聞いていない場でのやりとりは、「言った、言わない」の水掛け論になるおそれがあるため、証明を残しておくことが大切です。

しかし、兄弟姉妹の関係性によっては、音信不通で連絡先を知らないことも考えられます。
他の親族などに聞いてもわからない場合の対処方法は、次のとおりです。

連絡先がわからない兄弟姉妹がいる場合

相続前から絶縁状態の兄弟姉妹がいる場合は、連絡先を把握していないことも多いのではないでしょうか。
しかし、遺産分割協議を進めるためには連絡を取らなくてはなりませんから、まずはどこにいるのか知るために住所を調べることからはじめましょう。

●住所を調べる方法
本籍地の役所で「戸籍の附票」を取り寄せると、過去から現在までの住所の移転歴がわかります。
住所がわかったら、直接出向くなり手紙を送るなりして連絡を取りましょう。

●不在者財産管理人
どうしても行方がわからない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を請求することができます。
連絡がつかない兄弟姉妹の代わりに、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加して相続を進めるというわけです。

消息不明の兄弟姉妹がいる場合

もう何年も会っていない、他の親戚も消息を知らない、生死すらわからないという場合は、家庭裁判所で「失踪宣告」の申立をすることもできます。
失踪宣告の目安は「7年以上生死不明」のケースで、長年行方不明の人や生死不明の人について、法律上死亡したとみなすための手続きです。

法定相続人が死亡していたとみなされた場合は、その子供や孫に相続権が移ります。

ただし、失踪宣告では申請から確定まで1年ほどかかるため、相続開始後の申請では相続税の申告期限に間に合いません。
ひとまず、不在者財産管理人を選任して未分割のまま相続税申告準備を済ませてから、失踪宣告について検討すると良いでしょう。

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相続のトラブルが起きる前に!対処法をプロに相談

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遺産相続では大きな額のお金が絡むため、今は仲が良い兄弟姉妹でもトラブルを起こさないとは限りません。
兄弟姉妹の相続でトラブルが心配な場合は、早めに専門家に依頼すると良いでしょう。
本文でも触れましたが、遺産相続では相続開始から10ヵ月後には相続税の申告と納税を済ませることになっています。
相続争いで時間を取られてしまうと、期限までに遺産分割が間に合わず適切な節税対策が行われない可能性があり、本来は不要な税金を納めることになりかねません。
また、相続税問題に関連する知識や情報を得ておくことで、感情的な言い争いではなく建設的な話し合いをして円満な解決ができるということもあるでしょう。
個々の事情に対応した生前対策のアドバイスやサポートを受けることで、トラブルの発生を防ぐことも期待できます。

相続人関する悩みを相談をする際は、相続に強い税理士や税理士事務所を探しましょう。
ただし、一口に税金といっても幅が広く、税の専門家である税理士の中でもそれぞれに専門分野が異なるため、Webサイトの実績や事例を掲載しているページを確認することをおすすめします。
自分にとって話しやすいかなど、法律事務所の無料相談サービスなどを利用して実際に話してみるのも良いですね。

 

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