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親に遺言書を書いてもらうには?相続税申告と不動産対策を見据えた進め方

遺言書は用意しておいた方が良い。
友人知人から、そう聞いたことのある方も多いと思います。
けれども、遺言書の準備を促すことで、親御さまに「早く死んでほしいと思っているのでは?と誤解をされてしまいそう」とお子さんが慎重になることも少なくありません。
では、どのように伝えればスムーズに進めることができるのでしょうか。
この記事では、遺言書の重要性から親御さんへのスムーズな伝え方、注意点やよくあるトラブル例まで、分かりやすく解説します。

遺言書は、相続税申告や不動産の分け方を考えるうえでも重要です

遺言書は、相続税申告や不動産の分け方を考えるうえでも重要です

まずは、遺言書の重要性について見ていきましょう。

遺言書があると、遺産分割の方針を明確にしやすくなります

人が亡くなると、相続が発生します。
具体的には亡くなった方(=被相続人)の財産について、「誰が」「何を」受け継ぐかを決めなければなりません。
もし遺言書がない場合、相続人全員で話し合いをして、財産の分け方を決定します。
この話し合いを「遺産分割協議」と呼び、これを元に作成した「遺産分割協議書」がないと、原則として相続手続きが進められません。

遺産分割協議書には相続人全員の押印と、印鑑登録証明書が必要です。
実務では、疎遠になっている相続人から返事が来ない、話し合いに納得がいかない相続人から押印してもらえない、などの理由で手続きが棚上げになってしまうことがあります。

その点、遺言書があれば、被相続人がどのように分けたかったのかという意思を確認することができます。
さらに、公正証書の形式で遺言書が遺されていれば、遺言執行者に指定された相続人は他の相続人と協議することなく手続きが進められるのです。

小規模宅地等の特例や配偶者控除の適用にも影響することがあります

相続には、相続税の手続きがつきものです。
財産が基礎控除額を超えている場合、原則として相続開始から10カ月以内に申告手続きを終えなければなりません。

また、相続税には税負担を軽減できる特例がありますが、期限内に申告を行わないと対象外となります。
その代表的なものが、「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」です。

小規模宅地等の特例では、例えば、被相続人が住んでいた自宅の土地については、一定面積まで評価額を最大80%減額できるケースがあります。
ただし、相続する人や相続後も居住用にすることなど様々な要件を満たさなければなりません。

配偶者の税額軽減は、残された配偶者の生活を保障する目的で税負担を大幅に軽くすることができる制度です。
被相続人の配偶者が取得した財産については法定相続分または1億6000万円までであれば、原則として相続税がかかりません。

適用できるか否かで、税負担が大きく変わってきます。
10カ月の期限に間に合うかどうかは重要な問題と言えるでしょう。
そのため、事前に遺言書を準備しておくことが重要になってくるのです。

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親御さまに遺言書を書いてもらいたいときの切り出し方

遺言書は、相続税申告や不動産の分け方を考えるうえでも重要です

実務のご相談で、「遺言書が大切なのは分かるけれど、死を連想させるから親に言い出しづらくて」という声をよく耳にします。
では、どんな切り出し方がスムーズでしょうか。

「財産を分けたい」ではなく「家族が困らないため」と伝えましょう

親御さまに遺言書の話を切り出す際は、伝え方やニュアンスがとても大切です。
相続財産については、生前に親御さまに整理してもらい、相続人になる家族間で共有できることが理想です。
けれども実際にはデリケートな内容であり、聞きづらい・言いたがらないことも多いものです。

一つの方法としては「家族が将来困らないため」という視点からのアプローチが有効です。
実際に遺言書があることで家族全体の手続き負担が減少するので、その部分を伝えてみましょう。

例えば、相続登記は令和6年の4月から義務化されています。
それを踏まえて「相続登記を期限内にしておかないとダメみたい」と伝えてみる。
あるいは、相続税は期限内に申告しないと特例が使えなくなることがあります。
それを踏まえて「10カ月以内に相続税の申告が終わっていないと、相続税が高くなるみたい」と伝えてみるなどの方法がおすすめです。

また、親御さまの希望を聞くという姿勢も重要です。
本来、相続財産は被相続人側に分ける権利があるものです。
その部分を踏まえ、「もらう財産」の話ではなく、「意思を残してもらう」という形で話すと、親御さまの理解も得られやすくなります。

遺言書は、あくまでも安心のため、将来の手続き負担を減らすためのものとして伝えることが大切です。

不動産や相続税の手続きが複雑になりやすいことを共有しましょう

親御さまにとって、遺言書の準備はやはり大きな負担です。
ですから、まずは遺言書がある場合とない場合で何が変わってくるのか具体的に伝えることが大切です。
特に、以下のようなメリットをお伝えすると良いでしょう。

遺言書があるメリット

  • ・誰がどの財産を相続するか、子供どうしで切り出しにくい話し合いをしなくて済む
  • ・不動産の名義変更手続きを進めやすくなる
  • ・預貯金の解約や払戻し手続きが比較的スムーズになる
  • ・相続税申告までのスケジュールを立てやすくなる
  • ・「言った、聞いていない」といった家族間の誤解を減らしやすい

何より、親御さまの希望に沿った形で相続財産を分けることができるのだと、お伝えできると良いでしょう。

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遺言書を書く前に整理しておきたい財産と相続税の確認事項

遺言書を書く前に整理しておきたい財産と相続税の確認事項

では、具体的に遺言を用意するには、どんな準備が必要でしょうか。

自宅・土地・賃貸不動産など不動産の内容を確認する

最初に確認しておきたいのは不動産です。
不動産は、相続手続きの際に分けることが難しい財産の筆頭でもあります。
自宅だけでなく、空き家や駐車場、農地などの有無も整理しておきましょう。
先祖代々引き継いできた土地などがあることを、よく把握できていないこともあります。

不動産が複数ある場合などは、登記名義の確認も必須。
亡くなった祖父や、曾祖父の名義のままになっていたというケースも珍しくありません。
具体的には、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書を確認し、不動産をリストにしておくと、いざ相続が発生したときにもスムーズに進みます。

預貯金・株式・投資信託など金融資産を整理する

金融資産として代表的なのは預貯金ですが、株式や投資信託、国債なども確認しましょう。

特に、「普段は使っていない口座」などに注意が必要です。
転勤などで引っ越しを繰り返していると、あちこちの地方で口座を作り、そのままになっているというケースもあります。
相続手続きの際は、それぞれの金融機関に対して名義変更や解約の手続きが必要です。
金融機関の数が多ければそれだけ相続人の負担も増えます。

その点、親御さまが元気なうちであれば、ご自身の口座の解約は比較的スムーズです。
できるだけ口座の数を減らしておいてもらうことも有効な方法でしょう。

借入金や保証債務などマイナスの財産も確認する

相続では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぎます。
代表的なものは、住宅ローンです。
そのほか、カードローンや未払い税金、事業をしている場合はそれに関連する借入が残っている場合があります。

負債が大きい場合、相続放棄や限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐこと)もできます。
ただし、相続開始を知ってから3カ月以内に手続きをしなければならないので注意が必要です。

遺言書を作成する際には、負債についてしっかりと確認しておくことも欠かせません。

たんす預金やGOLD金地金がある場合の注意点

たんす預金やGOLD金地金がある場合の注意点

ご実家の相続の場合、いわゆる「たんす預金」や金が眠っていることもあります。
こういったものも相続財産に含まれるため、遺言書に記載しておく必要があります。

たんす預金も相続財産として申告が必要です

たんす預金とは、自宅で保管している現金のことです。
もちろん現金も、相続財産となります。
税務署には分からないから申告しなくて良いのでは、と思われる方もいます。
けれども、実際には、生前の預貯金の動きや生活状況などまで税務署が確認するケースがあります。
特に、相続開始前に多額の現金引き出しがある場合はその使い道を確認され、説明できない場合は相続財産として判断される可能性があるのです。
生前に保管場所や金額を整理し、遺言書や財産一覧に反映しておくと良いでしょう。

金地金や貴金属は、相続開始日時点の評価が必要になります

GOLD、金の地金や貴金属も、相続財産として評価が必要です。
特に金は昨今、価格が高騰している財産でもあります。
相続の際は、購入時の価格ではなく、亡くなった日時点の相場を基準に価値を判断します。
価格の変動が大きいため、相続時の確認が必要です。

また、自宅保管の場合、家族が存在を把握していないケースも少なくありません。
遺言書作成と合わせて購入時の資料や保管証明書、取引履歴などを整理しておくことで、後々の手続きがスムーズに進みます。

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専門家の視点で注意したい遺言書の内容

専門家の視点で注意したい遺言書の内容

専門家目線で、実際に遺言書を書く際に大切な点をご紹介します。

不動産を誰が相続するか、できるだけ具体的に記載しましょう

遺言書は、あいまいな書き方をするとトラブルにつながることがあります。
そのため、できるだけ具体的な記載をすることが大切です。
遺言書は、「読めば誰でも内容が分かる状態」を目指すことが大切です。
不動産は特に誤解が生じやすいため、慎重に整理しましょう。

不動産について、遺言に記載する際には以下のような点に注意しましょう。

注意したい内容起こりやすい問題
「自宅を相続させる」だけの記載土地と建物の範囲が不明確になる
地番や家屋番号の記載漏れ登記手続きで確認が必要になる
「家族で話し合って決めて」と記載遺産分割協議がまとまらない場合が多い
共有名義のまま承継させる内容将来の売却や管理が難しくなる
古い住所や旧姓のまま記載本人確認や登記で追加資料が必要になる

遺留分に配慮しない内容は、相続人間の争いにつながる場合があります

民法では、配偶者や子など特定の相続人に「遺留分」という最低限の取り分が認められています。
なお、兄弟姉妹相続には遺留分はありません。

具体的には、法定相続分の半分が「最低限の取り分」として保障されているのです。
そのため、遺言を「全財産を長男へ相続させる」「次女には何も渡さない」などといった内容にすると、遺留分を侵害しトラブルになる可能性があります。
遺言の内容が遺留分と食い違ってしまったら、遺留分を持つ相続人は「遺留分侵害額請求」を行う可能性が生じます。
遺言書を作成する際は「誰に何を渡すか」の希望を考えることが大切ですが、それと同時に他の相続人への配慮も欠かせません。

なお、遺言には「付言事項」という、手紙のような部分があります。
付言事項の部分を使って例えば「次男には7年前に住宅資金として2000万円贈与しているから、この遺言で相続させるものはない」など、差を付ける理由や配慮を文章で残すことで、争いを防ぎやすくなる可能性があります。

配偶者に多く残す場合は、二次相続の税負担も考える必要があります

配偶者が財産を相続した場合、相続税の負担は大きく減らすことができます。
そのため、相続時に大半を配偶者に遺す、というケースも少なくありません。
確かにその場合、一次相続(1次相続)の税負担が抑えられるでしょう。

しかし、二次相続(2次相続)の段階では法定相続人が減るため、基礎控除額が少なくなります。
配偶者へ財産を集中させることで、二次相続(2次相続)の際に税負担が重くなる可能性があることも知っておきましょう。

遺言書を作成する際は、将来の相続税の負担まで見据えて作成することが大切です。

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遺言書がない場合に起こりやすい相続トラブル

遺言書がない場合に起こりやすい相続トラブル

遺言書がない場合に起こりやすいトラブルの事例を見てみましょう。

実家を誰が相続するか決まらない

相続財産に不動産が含まれていると、話し合いをまとめる難易度が上がります。
実家には、単なる財産以上の感情が入りやすい特徴があります。
「思い出の詰まった実家を残したい」、「売却して現金化して分けたい」など、それぞれの立場によって意見が分かれることも多いのです。

遺言書があれば「誰に実家を相続させるか」を事前に示すことができ、トラブルを減らすことができるかもしれません。

不動産を共有名義にしてしまい、後々の売却や管理で困る

遺産分割で結論が出ない場合、不動産を共有名義にするケースもあります。
けれども、共有不動産の売却には原則として共有者全員の同意が必要です。
また、建替えや大規模修繕でも相続人間の調整が必要となり、手続きが難航することも少なくありません。

共有者が亡くなると、その持分が次の相続人へ承継され、権利者が増えてさらにややこしくなるので注意が必要です。

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遺言書を書いてもらうときは、専門家を交えて進めると安心です

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遺言書の作成・遺言執行の報酬について

遺言書の準備は「元気だからまだ早い」と感じる親御さまもいます。
しかし、落ち着いてしっかりと家族の将来を考えることができるのは、元気なうちだからこそです。

遺言書の作成には配慮すべき点や知識が必要な点も多数あります。
可能であれば、早い段階から税理士のような専門家がいる事務所へ相談しながら準備を進めるのがおすすめです。

当サイト「相続ステーション」では、これまでに多くのご依頼を受け、解決してきた実績があります。
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電話やメールからご予約のうえ、お気軽にご相談ください。

寺西 雅行

この記事を監修した専門家

寺西 雅行

税理士法人プラス 代表税理士
(株)相続ステーション 代表取締役
行政書士法人サポートプラス 代表行政書士

1962年生 同志社大学卒業。学生時代から25才までの間の3度の相続で自身が相続納税や借地人・借家人・農地小作人との折衝に苦労した経験から、不動産に詳しい相続専門税理士の必要性を痛感。
税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、ライフコンサルタント(生命保険)、証券外務員資格、M&Aスペシャリストの8種類の資格を有する相続・遺言・後見・不動産など財産に関する総合エキスパートとなる。
弁護士・会計士・税理士からの業務依頼や銀行からの相談、TVメディアからの解説依頼多数。

著書『相続専門の税理士だから言えるリスク回避の処方箋』
『相続トラブルSOS~専門の税理士がやさしく解説~』
『相続119番~誰にも聞けなかった相続の悩みを一挙に解決!』

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