相続人に重度の認知症の人がいる場合、相続手続きが進まず、やむ無く法定後見の申立

相続人の中にも高齢となり認知症などを発症し、意思能力が怪しい人が居る問題も増えてきています。遺産分割能力がないまま未分割となれば、預金などは長年凍結、不動産は手がつけられません。又、相続税額も受けられるはずの特例が受けられず、相続人全員が高額の相続納税を強いられもします。どなたにでも可能性のあることであり、もはや相続手続きと成年後見制度の利用は不可分の関係と言えます。

重度の認知症になれば(意思能力が極度に低下)財産上の法律の行為ができません

重度の認知症になれば贈与・遺言・遺産分割ができない?

  • 遺言
  • ● 遺産分割の協議や不動産登記の委任
  • ● 本人の名義である銀行などの金融機関の入出金取引や口座の管理
  • ● 保険契約の締結・解除・保険金の請求
  • ● 株式・投信・国債等の取引
  • ● 生活費・租税・医療介護費の支払
  • 贈与
  • ● 老人ホームや介護施設の入所契約
  • ● 新規借入や借金の繰上げ返済
  • ● 不動産の売買や賃貸契約、賃料催促
  • ● 取締役や株主としての議決
などの法律の行為ができません。

相続を見据えた成年後見の手続き(認知症の場合のなど)

当社は、日本税理士会所定の後見研修の履修により後見制度活用の支援をさせていただております。
相続人の中には認知能力がないことを伏せて遺産分割をしても税務署にバレれば無効と言われかねません。
注意すべき点が多いので、正しい知識を確認いただいて進めるようにしてください。

成年後見(後見・保佐・補助)手続きの流れ

法定後見の制度を活用する際の流れは概ね以下です

申立て→審判まで1ー3ヶ月

書類の収集
及び
申立書の提出

※参照(注1) 所定診断書の「後見の程度」欄が重要
本人や
後見候補者
の面接
遺産分割の際の成年後見人は利益相反を理由に相続人は候補者になれません。
申立時に御兄弟等の「同意書」が提出されていなければ 御兄弟等に対して家庭裁判所から「意向照会書」の送付あり。 ⇒ 御兄弟の意向により、後見監督人が選任される場合もあります。
医師の
精神鑑定
家庭裁判所が必要と判断した場合のみ。 この場合は精神鑑定費用、5万~10万円を現金予納
審理
審判
審判確定
家庭裁判所から後見開始についての「審判書」が交付されます。
「審判書」交付後2週間で審判確定_成年後見人に対して選任されたことが通知されます。
財産目録の提出 参照(注2)
後見開始後 後見人等は後見開始1ヶ月の後、「期間収支」「財産目録」を家庭裁判所に提出。
その後は、6ヶ月~1年に一度の頻度で提出。
監督人が選任された場合は上記の収支が目録を監督人に提出。
監督人に対しては、家庭裁判所の決定による報酬が必要。

※いったん審判が確定すると、認知症が回復しない限り成年後見制度そのものをやめることができないデメリットもあります。

   

事前準備(ご用意頂くもの)※参照(注1)

申立てに必要な書類 請求先(特に記載がなければ各1通)
 1  医師の診断書 (家庭裁判所用フォーマット)  主治医(歯科以外であれば可)
 2  鑑定についてのお尋ね( 〃 )  同上
 3  登記されていない証明書 法務局(本人・後見人等)
弊社の委任状
 4  本人の戸籍謄本 市町村役場
 5  申立人の戸籍謄本 同上
上記③にて、本人が依頼できない場合は2通
 6  後見人等候補者の戸籍謄本 上記⑤と同一の場合は不要
 7  本人の住民票 市町村役場
 8  後見人等候補者の住民票 同上
 9  ご兄弟などの「同意書」
(家庭裁判所用フォーマット)
ご兄弟など
10  不動産登記簿謄本 法務局(原本必要)
11  固定資産税評価証明書 市町村役場
上記10、11は申立てに不要ですが、いずれ必要になりますので早めの取得をおすすめします。  

後見人決定後の財産目録 ※参照(注2)

被後見人等に関する資料 請求先(特に記載がなければ各1通)
12   本人に関する照会書 用紙に記載
13   健康状態がわかる資料 障害者手帳、療養手帳 他
14  預貯金・有価証券等の資料 通帳、株式の残高報告書等
15  生命保険、損害保険等の資料 生命保険証書等
16  負債についての資料 金銭消費貸借契約書、借入返済明細等
17  収入についての資料 確定申告書他
18  支出についての資料 各種税金の納税通知書、健康保険料等通知書
医療費・施設費の領収書等
 
19  候補者に関する照会書 用紙に記載

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