遺産分割に役立てる遺留分請求、預金の一部引出し、療養看護の特別寄与の請求など相続民法の改正
【 概 要 】 | 【 所 見 】 | |
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◆遺留分請求について◆ |
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●遺留分の計算に際し、相続人に対する贈与は相続開始前10年間にされた分まで含め、相続人以外に対する贈与は、相続開始前1年間にされた分を含める。 |
相続人に対する贈与は、 |
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●受遺者又は、受贈者に対する遺留分侵害額の請求は、当初から「金銭」でできるように改正 |
今までは、遺贈や贈与をした現物の返還請求が建前であった |
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【 概 要 】 |
【 所 見 】 |
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◆預金の一部引出◆ |
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遺産分割協議が成立前でも、被相続人の預貯金の1/3×法定相続分までは、遺産分割の一部として引き出すことができるようにする。 |
遺産分割協議が長引くことによる債務支払い・相続納税などの延滞を回避しやすくなる。 |
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【 概 要 】 |
【 所 見 】 |
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◆療養看護の特別寄与の請求◆ 2019年7月1日~の相続開始分から |
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相続人以外の親族が無償で療養看護・労務提供などをしたことにより、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした親族は、相続開始を知った日から6ヶ月以内(又は相続開始から1年以内)に限り、相続人らに対し、『特別寄与料』を請求することができる。金額の協議が調わないときは家庭裁判所が決定。 ※受取側は、2割加算「相続申告」・支払側は、相続「債務控除」の扱い |
特別寄与の「時期」・「方法及び程度」などの立証がポイント。 |
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【 概 要 】 |
【 所 見 】 |
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◆配偶者居宅の遺産分割の特別規定◆ 2019年7月1日~の相続開始分から |
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結婚20年以上経過している夫婦に限り、妻が住んでいた土地・建物(配偶者居住権を含む)を遺贈・贈与受けたとしても、その土地・建物の価額は特別受益として扱わない。 |
居宅の価額にかかわらず他の財産を法定相続できる。 |
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【 概 要 】 | 【 所 見 】 | |
◆相続による第三者への対抗◆ 2019年7月1日~の相続開始分から |
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●不動産その他の権利の承継で、法定相続分を超える部分は、登記・登録などを行っておかないと第三者に対抗できない。 | 不動産などは、遺産分割などが終われば、名義変更を。 | |
●預金や貸金などの債権を相続した人は、相手に相続人が決まったことを証する通知をしておかないと第三者に対抗できない。 | 金額の大小にかかわらず、名義変更・出金や集金を。 |
≪ご参考ページ≫
療養看護の特別寄与料の請求があった場合の相続税
民法改正により、2019.7.1~相続発生分から被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供したことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人等を除く)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の特別寄与料の支払を請求することができようになりました。
この特別寄与料の支払の請求が行われ、まだ、その額が確定していない段階では、特別寄与料に関して相続税の課税関係は生じないが、その後、その額が確定した場合には、当該特別寄与料の額に相当する金額を特別寄与者が被相続人から遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となります。
また、特別寄与料を支払うべき相続人が当該特別寄与料の額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額がその相続人の課税価格とします。
なお、特別寄与料の額が確定し、新たに相続税の申告書を提出すべき要件に該当することとなった者は当該相続税の申告書を、その確定した日の翌日から10か月以内に納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。また、支払うべき特別寄与料の額が確定した場合において、相続税について申告書を提出した者又は決定を受けた者の当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額が過大となったものは、その確定したことを知った日の翌日から4か月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、更正の請求をすることができます。
税制改正(推移)、ほか
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・2020(R2)年 税制改正大綱【抜粋】 new