相続手続きの代行を依頼するメリットは?費用相場やサービスについて解説
身近な人が亡くなった時、遺族はいろいろな手続きに追われることになります。
特に、遺産相続の手続きは作業量が多く専門知識が必要な場面もあるため、相続代行に依頼することを考えているという人も多いでしょう。
日本では、税理士に弁護士や司法書士といった法律の専門家、全国の金融機関などが、相続手続代行を行っています。
それぞれが専門知識を備えた職種ですが、相続税申告は税理士以外は行えないので、相続税が気になる方は最初から相続専門の税理士に相談された方が費用も手間も省けます。
この記事では、専門家ごとの得意分野の比較と、相続代行のメリット・デメリット、費用の相場など、相続代行についての概要を解説します。
遺産相続が発生した時の詳しい流れや注意点とは?

相続とは、「被相続人(亡くなった人)の所有財産を、相続人に渡す」ための手続きです。
被相続人が亡くなった日を相続開始日として、翌日から10ヵ月以内に相続税の申告と納税を完全に済ませなければなりません。
まずは、相続に必要な手続きをチェックしていきましょう。
①遺言書の有無の確認
遺言書があった場合、遺産分割の方法は遺言書に従うことになります。
遺言書がない場合は相続人同士で協議して分割を進めることになりますが、遺言書が発見されるとその時点で遺言書が優先されるようになるため、やり直しになるということです。
そのため、まずは徹底して遺言書を探すことが重要となります。
②相続人の把握
被相続人の家族や親族の誰もが相続人になれるわけではありません。
相続人の範囲と順序は民法によって下記のように定められており、これを「法定相続人」と呼びます。
順序 | 被相続人との関係 |
常に | 配偶者 |
第1順位 | 子 ※子が亡くなっている場合は、直系卑属(孫、ひ孫) |
第2順位 | 父母 ※父母がどちらも亡くなっている場合は、直系尊属(祖父母、曾祖父母) |
第3順位 | 兄弟姉妹 ※兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥姪 |
法定相続人の該当者を把握するために活用できる資料があります。
以下に挙げる書類となりますので、収集しましょう。
●被相続人の戸籍謄本
相続関係を証明するためには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続したすべての戸籍謄本が必要です。
戸籍は婚姻や離婚、転籍や分籍などを経験するたびに新しく作られるので、人によっては4通程度から10通以上になる可能性もあるでしょう。
戸籍謄本には「どこから戸籍を移動したのか」が記載されているため、1通取得してはひとつ遡って該当する自治体で取得……という作業をくり返すことになります。
相続財産の調査
被相続人が所有していた「経済的価値のあるもの」は、すべて相続財産です。
このうち、所有する権利を得るものを「プラスの財産」、返済や支払いの義務を負うものを「マイナスの財産」として、「プラスの財産-マイナスの財産」で正味の遺産額を算出します。
●プラスの財産
預貯金や現金、投資信託、株式、国債などの有価証券や土地家屋などの不動産、自動車やブランド品、書画骨董品、宝石貴金属など形のある財産の他、借地権や生命保険契約などの権利も相続できる財産です。
また、生命保険の死亡保険金や死亡退職金など、被相続人が亡くなったことで経済的価値が生じるものも相続財産とみなします。
被相続人が相続人に対して生前贈与した財産のうち、「死亡から3年以内」「相続時精算課税制度適用」に該当するものや名義借用財産も相続財産に含まれることを理解しておきましょう。
●マイナスの財産
借入金やローン残高など、被相続人の債務はマイナス財産の代表です。
また、被相続人の葬儀費用もマイナスの財産として遺産額から差し引くことになります。
●遺産として扱わない財産
日常的に礼拝していた仏壇や神棚、特定の非営利団体などに寄付した財産には、相続税がかかりません。
また、相続財産として扱う贈与財産のうちすでに納めた贈与税額や、死亡保険金・死亡退職金の非課税枠(500万円×相続人数)も、遺産額から除外しておきましょう。
相続財産の評価
財産の価格は、相続開始時の「時価」で評価します。
予め定められている評価方法によって、すべての財産の時価を算出しなければなりません。
●土地の評価は専門知識が必要
土地の評価は「面積」を基準に行います。
しかし、同じ面積でもきれいな四角形の土地と細長い土地やL字型の土地を同じ価値とみなすのは、かえって不公平ではないでしょうか。
そこで、土地の形状や立地条件に合わせた「補正率」を用いて、実態に合った価格となるよう調整を行います。
調整をしないまま申告すると、相続税を多く払いすぎる原因となるので注意しましょう。
遺産分割
遺産の価値がわかったら、次は遺産の分割です。
すでにお伝えしたとおり遺言書がない場合は相続人全員で協議しますが、「誰が、何を、どのくらい取得するか」によって相続税額が変わることもあるため、慎重に話し合いましょう。
●税額軽減の制度
2022年(令和4年)現在、相続税については、配偶者に対する大きな税制優遇制度「配偶者控除」や、自宅家屋などを誰が相続したかによって課税遺産額が減額される「小規模宅地等の特例」など、様々な税額軽減制度があります。
遺産分割協議の際には、各制度の適用要件も念頭に置いて検討しましょう。
●税額軽減制度の注意点
ただし、今回の相続(1次相続)で配偶者に対する大きな控除や特例を適用させて、結果的に配偶者の相続財産が多くなってしまうと、将来の配偶者死亡時に子供が負担する相続税額が増えるという問題点があります。
将来の相続税額も考慮して分割することで、数百万円から数千万円の節税ができることもあると覚えておくと良いでしょう。
財産の名義変更
遺産分割が終わったら、取得した遺産の名義を変更する手続きを行います。
名義変更が完了すると、被相続人から相続人へと所有権が移動するというわけです。
●不動産
法務局で相続登記を行います。
添付書類が多数ある他、「申請する不動産の固定資産税評価額×0.4%」の登録免許税がかかる点に注意が必要です。
●預貯金口座
被相続人の預貯金口座は、死亡した旨を該当の金融機関に連絡するとひとまず凍結され、遺産分割成立後に預貯金口座を相続した人が手続きするまでは払い戻しができません。
証券口座の場合は、いったん取引を停止し、その後、投資資産を相続人の証券口座に移管することになります。
相続税の申告と納税
相続関係を証明する書類、相続財産と評価額を明らかにする書類と財産目録、遺産分割協議書などが揃ったら、相続税申告のための準備を行います。
●相続税額の計算
一般的な計算は、次の順序で行います。
【相続税の計算】 ①正味遺産額-基礎控除額「3000万円+(600万円×法定相続人数)」=課税遺産総額 ※この時、課税遺産総額が0円になる場合は、相続税の申告と納税は不要です。 ②課税遺産総額×各相続人の法定相続分=各相続人の「法定相続分に応ずる取得金額」 ③各相続人の「法定相続分に応ずる取得金額」×相続税率=各相続人の「法定相続分に応ずる税額」 ④各相続人の「法定相続分に応ずる税額」の合計額=相続税総額 ⑤相続税総額×各相続人の実際の取得割合=各相続人の実際の税額 ⑥要件を満たす控除や特例がある場合は、適用を受ける |
●相続税申告書類の作成
相続税申告用紙は、税務署窓口や国税庁Webサイトのダウンロードページなどで入手できます。
●相続税申告書の提出先
冒頭でもお話ししたとおり、相続税の申告には期限があり、相続開始から10ヵ月以内に確実に行わなければなりません。
相続税の申告先は、「被相続人の住所地」を管轄とする税務署となるため、遠方に住んでいる場合は大変でしょう。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)も利用できますが、窓口申告とは手順が異なるので気を付けてください。
●相続税の納税
納税期限も申告期限と同様に相続開始から10ヵ月後です。
現在は現金による一括納付が原則で、全国の金融機関で納めることもできます。
金融機関は土日が休みのことが多いので、うっかり納税期限を過ぎてしまわないように注意しましょう。
誰に依頼するのが良い?相続手続き代行の選び方

相続手続きの代行を誰に依頼すべきかを考えるためには、自分の相続における悩みや不安の把握が大切です。
サイトなどに記載された個別の専門分野や特徴を比べて、自分のケースに合ったプロを選ぶと良いでしょう。
専門家ごとの分野の違いについて、これから解説します。
行政書士
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や証明書類の作成に強く、自動車の登記申請、遺産分割協議書や相続人関係説明図等の作成などを得意としています。
司法書士
司法書士は、不動産登記手続き代理が専門分野で、法務局や裁判所へ提出する関連書類の作成と提出の代理などを得意としています。
例えば、被相続人に多額の債務があり、相続することで損害を被る場合は「相続放棄(すべての相続権を手放すこと)」「限定承認(遺産の範囲内で債務を相続すること)」について家庭裁判所に申し立てることができますが、その際の書類作成などにも強いというわけです。
遺産に不動産がある場合、あるいはたくさん債務がある場合などは司法書士に相談すると良いでしょう。
弁護士
弁護士の得意分野は、なんといっても紛争の解決です。
遺産分割協議がスムーズにいかず調停や審判に発展しそうな場合や、相続人の間で遺言書によるトラブルが起きそうな場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。
また、成年後見人として相続人を支援することもできるため、相続人の中に判断能力が低下した人がいる場合に家庭裁判所で成年後見人の選任申立てなどは弁護士に頼むと良いでしょう。
税理士
税金のプロである税理士は、相続税の申告書の作成は税理士しか行えません。
相続税額を大きく左右する不動産の適正評価や、将来を見据えた節税対策効果のある遺産分割などを相談すると良いでしょう。
また、税理士には相続税申告書類を作成した際に「税理士意見書面」を添付する権限があります。
意見書面には、申告書類作成時の根拠や数字だけでは読み取れない事情や背景を記すことができ、税務署からの指摘や調査を回避する効果もある点がお得だと言えるかもしれません。
もしも税務署からの意見聴取があった場合でも、納税者に代わり税理士が直接対応してくれます。
遺産が高額な場合や海外資産を含む場合、配偶者や子、孫の名義での預金が多く税務調査リスクが高い場合は、相続専門の税理士に協力を依頼すると安心です。
金融機関
銀行や信託銀行でも、相続事務の代行サービスを行っています。
名義変更などをサポートするところが多いですが、銀行には不動産の名義変更手続きを行う資格はありません。
そのため、専門的な作業は結局、外部の専門家に外注することになります。
相続税の申告が不要な場合や不動産が無い場合、また、遺産の大半が預貯金だという場合は、自分が銀行口座を持つ金融機関などに相談するのも良いでしょう。
相続手続きを代行依頼する際 のメリット・デメリット

相続手続きには多くの人が不慣れなため、プロに代行してもらうことのメリットがピンとこないという人もいると思います。
相続手続きを代行する場合のメリットとデメリットは、次のようなものが考えられます。
代行を依頼するメリット
●不備やミスのない完全な書類が整う
●日常の時間を割いて、手続きに手間や時間をかけなくても良い
●トラブルやもめごとを未然に防ぐ、または間に入ってもらえる
●節税効果が期待できる
●税務調査リスクが回避できる
●相続人自身のケースに応じたアドバイスが受けられる
代行依頼のデメリット
●費用がかかる
専門家に代行を依頼すると、当然「依頼料」が発生します。
依頼できる範囲を確認することは勿論ですが、メリットを得るための対価として納得できない場合は、もう一度検討し直すほうが良いかもしれません。
代行をおすすめする人、おすすめしない人
上記のメリットに魅力を感じた人、現実問題として仕事などが忙しく手続きに充てる時間がないと困っている人、不備やミスで何度もやり直すくらいなら代行を依頼して1回で完全に終わらせたいという人は、プロにお願いしたほうが良いでしょう。
一方、遺産額が少ない場合や相続人がひとりしかいない場合、名義預金が無い場合などは、トラブルに発展しにくく手続きもやや簡単なため自分で行っても大丈夫でしょう。
ただし、相続税申告には期限があるため、手に負えないと感じた場合は早めに方針変更することをおすすめします。
専門家に代行を依頼した時の費用相場はどのくらい?

では、手続き代行を依頼する場合の費用の相場はそれぞれどのくらいなのでしょうか。
各専門家によって代行を依頼できる業務が異なるため一定の基準で体系的に比べることは難しいですが、参考までに紹介します。
行政書士の相場
●遺産分割協議書作成:3万円~
この他、自動車の名義変更など各種相続手続きが1件あたり3万円など、依頼内容によって金額が異なります。
司法書士の相場
●相続登記:6~8万円/不動産1~5件
相続登記は、司法書士事務所によって「1件あたり」としているところと「何件でも一律」としているところがあるため、複数の不動産登記をする場合は料金形態を確認したほうが良いでしょう。
弁護士の相場
●遺産分割事件の着手金:20~30万円
●成功報酬:遺産取得分の10~15%
弁護士に依頼するということは、何らかの紛争があったということになります。
遺産分割で5000万円取得した場合の成功報酬は500~750万円です。
税理士の相場
●相続税申告の基本報酬:遺産総額×0.5~1%
●加算報酬 項目ごとに1万~15万円
基本報酬+項目ごとの加算報酬としているところが多く、依頼内容によって報酬額も異なります。
ただし、税理士に依頼する場合は、依頼料よりも節約できる相続税額のほうが大きいという点を理解しておきましょう。
金融機関の相場
●最低110万円~
銀行や信託銀行での相続手続きは、最低額の設定が割高です。
また、自行で扱っている預金や投資信託、国債、保険商品等の評価については、一般的に商品金額に対して何%としています。
相続ステーションの相続手続き代行サービスの内容について

相続ステーションは、相続・遺言に特化した税理士法人で、「節税、税務調査対策、将来を考慮した相続税申告」のトータルサポートを得意としています。
日本における節税対策の肝は不動産評価だといわれていますが、税の知識だけ、土地の知識だけではなかなか適正評価が算出できません。
相続ステーションでは、不動産免許を併せ持つ「土地にも相続税にも詳しい税理士」が責任を持って対応するため、土地評価の減額および相続税の節税に大きな差がつくというわけです。
また、一般的に相続税申告後に税務調査が入る確率は30%といわれていますが、万全の税務調査対策により直近19年間で税務調査を受ける確率を1%未満におさえられています。
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