遺産相続の時効は相続が発生してからどれくらい?それぞれの対処法は?
遺産相続では、相続人にいくつもの権利が認められています。
例えば、遺産を取得する権利、不公平な遺産分割に意義を唱える権利、あるいは遺産に債務が多い場合に相続放棄する権利などが代表的な権利です。
一方で、それぞれの権利には時効も定められています。
仮に関連手続きの期限を過ぎてしまうと、もらえるはずの財産をもらえなかったり、払う必要のない債務を支払うことになったりと、大きな不利益を被る可能性があるでしょう。
そこで、この記事では、相続にまつわる7つの権利とその時効の概要、時効が過ぎた場合の対処法について、詳しく解説していきます。
相続税申告の時効は【5年or7年】こちらで詳しく解説
7つの時効のうち最も重要なものが、相続税申告にまつわる時効でしょう。
遺産相続にはいくつもの権利が認められていますが、同時にいくつかの義務も生じます。
そのうちのひとつが、相続する財産が一定額を超えた場合に、受け取った遺産額に応じた相続税を納めるという義務です。
では、相続税の申告や納税をしなかった場合、税務署から申告や納税を求められるのはいつまでなのでしょうか。
相続税については、税務署が更正・決定などを行える期間に一定の制限が設けられています。
ここからは、その期間と起点となる時期について詳しく見ていきましょう。
相続税納付義務の時効【5年、7年】
相続では、被相続人(故人)が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を行わなければなりません。
相続税について税務署が更正・決定などを行える期間には、原則として5年という期間制限があります。
偽りその他不正の行為によって税額を免れた場合などは、期間が7年となります。
しかし、相続税の申告期限から5年または7年が経過すれば必ず納税義務がなくなる、という単純な話ではありません。
税務署が更正・決定などを行える期間と、確定した税金を徴収できる期間は、それぞれ別の制度として考える必要があります。
●原則【5年】
相続税の法定申告期限から5年が経過すると、原則として税務署は更正・決定を行えなくなります。
申告義務があることを知らなかった場合や、申告期限を忘れていた場合なども、原則としてこの期間制限の対象となります。
- ・申告が必要な財産の存在を知らなかった
- ・申告義務があるとは認識していなかった
- ・申告期限を知らなかった、忘れていた
●偽りその他不正の行為がある場合など【7年】
偽りその他不正の行為によって相続税の全部または一部を免れた場合などは、税務署が更正・決定などを行える期間が7年となります。
- ・財産を把握していたが、意図的に過少申告した
- ・虚偽の内容を申告して税額を少なくした
ただし、これらの事情があるからといって、必ず7年になると一律に判断できるわけではありません。
また、納税義務や申告期限を知りながら申告しなかった場合も、申告義務がなくなるわけではありません。
実際の取り扱いは、申告の状況や財産の把握状況、税額を免れるための行為があったかどうかなど、個別の事情によって判断されます。
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●相続税の申告が必要か否かの判断は遺産と名義預金を考慮して判断
相続税の時効はいつから数える?申告期限との関係を解説
相続税の時効を考えるときは、相続開始日そのものではなく、原則として相続税の法定申告期限を基準に期間を数えます。
例えば、2026年(令和8年)1月10日に被相続人が亡くなった場合では、相続税の申告期限は2026年(令和8年)11月10日です。
このケースでは、相続税の申告期限の5年後である、2031年(令和13年)11月10日が原則的な期間制限の基準となります。
なお、偽りその他不正の行為があった場合などは、7年後の2033年(令和15年)11月10日まで税務署が更正・決定などが行う可能性があります。
ただし、相続税について税務署が更正・決定などを行える期間と、すでに確定した税金を徴収できる期間は異なる制度になります。
申告期限から5年または7年が経過すれば、必ず納税義務がなくなるという意味ではないため注意しましょう。
相続税の申告をしていない場合や申告内容に誤りがある場合は、時効を待つのではなく、早めに税理士へ相談することが大切です。
名義預金やタンス預金が税務調査で発覚する理由
相続税の税務調査では、被相続人の預金口座だけでなく、家族名義の預金や自宅に保管されていた現金についても確認が行われることがあります。
特に、名義上の所有者と実際に財産を管理・使用していた人が異なる場合、名義預金や申告漏れの可能性を指摘されることがあります。
税務署がどのような情報や状況から財産の実態を確認するのか、具体的なポイントを知っておきましょう。
家族名義の預金も、お金の出どころから確認される
名義預金の調査では、預金口座の名義人だけでなく、その預金を形成したお金の出どころが誰の財産であったのかが確認されます。
預金口座が子どもや孫の名義になっていても、実際には被相続人が資金を出して管理していた場合、名義人の財産ではなく、被相続人の相続財産に含まれる可能性があるためです。
例えば、被相続人が自分の預金から子ども名義の口座へ毎年一定額を振り込んでいた場合で考えてみましょう。
子どもがその口座の存在を知らず、通帳や印鑑も被相続人が管理していた場合、形式上は子どもの名義であっても、実質的には被相続人の財産であると判断される可能性が高まります。
一方で、被相続人が子どもや孫に資金を贈与し、受贈者本人がその預金の存在を認識したうえで、自ら管理・使用していた場合には、贈与が成立していると判断され、名義預金に該当しない可能性があります。
名義人が誰であるかだけでなく、贈与の実態や預金の管理状況などを踏まえて判断することが大切です。
税務署は、相続税の税務調査において、被相続人の預金口座から家族名義の口座への振込履歴や、まとまった金額の資金移動などを確認します。
また、家族名義の預金に多額の入金がある場合には、その資金が給与や事業収入なのか、被相続人からの贈与なのか、あるいは別の資金移動なのかを確認することもあります。
資金の出どころを説明できる資料が残っていれば、財産の実質的な所有者が誰なのかを判断するうえで役立つため、証拠となる書類はきちんと保管しておくと良いでしょう。
預貯金口座が家族名義だからといって、必ずしも相続財産から除外できるわけではありません。
名義預金の申告漏れを防ぐためには、家族名義の口座についても、資金の出どころや管理状況、贈与の経緯などを整理しておくことが重要です。
通帳や印鑑の管理状況から、預金の実質的な持ち主が判断される
名義預金に該当するかどうかを判断する際には、預金の原資だけでなく、通帳や印鑑を誰が管理していたのかも重要な確認事項です。
預金口座の名義人と、実際に預金を管理・使用していた人が異なる場合、名義預金と判断される可能性があるでしょう。
例えば、子ども名義の預金口座であっても、被相続人が通帳や印鑑を保管し、入出金の手続きも行っていた場合、名義人本人がその預金を自由に管理・使用していたのかが問題になります。
子どもが口座の存在や残高を把握していなかった場合には、被相続人が実質的に預金を管理していたと判断されるポイントのひとつになります。
税務調査では、通帳や印鑑の保管場所、口座の入出金を誰が行っていたのか、名義人が預金の存在や残高を把握していたのかなど、複数の事情を踏まえて実質的な所有者が確認されます。
さらに、名義人自身が預金を使用した実績や、贈与を受けた認識があったかどうかなども、財産の実質的な所有者を判断するうえで重要なポイントです。
ただし、通帳や印鑑を被相続人が管理していたという事実だけで、直ちに名義預金と判断されるわけではありません。
資金の出どころや贈与の経緯、名義人の認識などを総合的に確認して判断されるのが通常です。
家族名義の預金について不安がある場合は、相続税に詳しい税理士へ相談し、実態に応じた申告を検討しましょう。
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生前の出金履歴から、引き出した現金の使い道が確認される
被相続人の預金口座から、生前に多額の現金が引き出されている場合、その使い道や現金の保管状況が税務調査の対象となることがあります。
特に、相続開始前にまとまった金額の出金が繰り返されている場合には、引き出した現金がどのように使われたのかを確認することが重要です。
例えば、相続開始前に多額の現金が複数回引き出されているにもかかわらず、生活費や医療費、住宅の修繕費などの支出として説明できない場合、現金がどこに保管されているのか、家族への贈与や財産の移転がなかったかなどが確認される可能性があります。
出金の時期や金額、被相続人の生活状況なども踏まえ、引き出した現金の使い道が確認されるので注意しましょう。
タンス預金についても同様です。
預金口座からの出金履歴や家族の説明、保管状況などを照合し、相続開始時点で現金が残っていたかどうかを確認することがあります。
引き出した現金が自宅の金庫や収納場所に保管されていた場合、その存在や金額について確認を求められる可能性もあるでしょう。
ただし、預金口座からの出金額が、そのまま相続財産として認定されるわけではありません。
実際の使途や支出の時期、残っている現金の金額などを踏まえて総合的に判断されるため、日常的な支出を含め、現金の使い道を説明できる領収書や記録などを整理しておくことが大切です。
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被相続人と子・孫名義の口座の支店が同じ場合は名義預金を疑われる
被相続人と、子どもや孫などの家族名義の預金口座がどこに開設されているかは、税務調査で確認されるポイントのひとつです。
特に、複数の家族名義の口座が同じ金融機関・同じ支店に集中している場合には、口座の開設や管理に被相続人が関与していなかったかなどを確認されることがあるため注意が必要です。
例えば、被相続人が自分の預金から子どもや孫名義の口座へ資金を移しており、これらの口座の通帳や印鑑も被相続人が保管していた場合には、被相続人が実質的に預金を管理していた可能性があります。
その場合、資金の移動履歴や口座の管理状況などを確認されることがあるのです。
一方で、家族が近隣の同じ金融機関を利用している、以前から同じ支店を利用しているなどの場合でも、合理的な理由があるケースも考えられるでしょう。
そのため、被相続人と家族が同じ支店を利用しているという理由だけで、名義預金と判断されるわけではありません。
名義預金に該当するかどうかは支店だけで決まるものではなく、預金の原資、通帳や印鑑の管理者、入出金の状況、名義人が預金の存在や残高を把握していたかなど、複数の事情を総合的に確認して判断されます。
家族名義の口座が複数ある場合は、相続が発生する前から、それぞれの口座について誰のお金なのか、誰が管理しているのかを整理しておくと良いでしょう。
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相続放棄の時効は3ヶ月
相続が開始したとき、相続人には「相続を承認するか、放棄するか」という選択をする権利があります。
遺産相続で受け継ぐのは、財産をもらえる権利ばかりではありません。
被相続人に債務があった場合は、その債務について返済する義務も相続することになります。
債務が多数あるなど、状態や事情によっては、相続の結果として不利益を被ることもあるでしょう。
そこで、まず相続人には、相続財産を承継するかどうかについての選択権が与えられるというわけです。
相続の放棄を選択した場合は、財産を得る権利も失いますが、債務を返済する義務も、それがいくらかに関わらずすべて手放すことができます。
相続放棄の時効【3ヶ月】
相続を放棄する場合の時効は、相続開始日から3ヶ月です。
他の相続人が放棄したことによって自分が相続人となった場合には、相続人となったことを知った日から3ヶ月です。
その3ヶ月間で被相続人の財産内容や債務の有無などの調査を徹底して、相続するかどうかを決断しなくてはなりません。
何もしないままこの期間を経過した場合は「相続することを承認した」とみなされますが、3ヶ月以内に「放棄の期限の伸長」の手続きをすれば熟慮期間は延長できます。
相続放棄の注意点
相続を放棄するためには、被相続人の住所地の家庭裁判所への申立が必要です。
ただ遺産を受け取らなかったり、口頭で「いらない」と伝えたりしただけでは、相続放棄にはなりません。
相続開始から3ヶ月以内に、家庭裁判所で手続きを済ませましょう。
また、相続放棄の手続きを済ませた後で、被相続人の遺産を受け取ってしまうと「放棄しなかった」ことになるため注意が必要です。
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贈与税の時効(6年)との違いに注意
相続税と贈与税はいずれも財産に関係する税金ですが、税務署が更正・決定などを行える期間や、その起算点は同じではありません。
特に、被相続人から生前に財産を受け取っていた場合、「贈与税の時効が過ぎているから、相続税にも関係しない」と単純に判断しないように注意しましょう。
また、過去の贈与が相続税の計算に影響するケースもあるため、それぞれの制度を分けて理解することが大切です。
相続税と贈与税では、原則の期間と起算点が異なる
相続税と贈与税では、税務署が更正・決定などを行える期間(時効)について、それぞれ異なるルールが設けられています。
贈与税の時効は、原則として法定申告期限から6年です。
偽りその他不正行為があった場合、期間が7年となることがあります。
なお、贈与税の法定申告期限は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
例えば、2026年(令和8年)5月10日に贈与が行われた場合、贈与税の申告期限は2027年(令和9年)3月15日です。
このケースでは、特段の事情がなければ、贈与税の申告期限の6年後である、2033年(令和15年)3月15日が贈与税の時効(更正・決定の期間制限)となります。
なお、偽りその他不正の行為があった場合などは、7年後の2034年(令和16年)3月15日が時効です。
相続税・贈与税のそれぞれの時効期間は、法定申告期限など、制度上定められた基準日を確認する必要があります。
相続税と贈与税の期間を確認するときは、どちらの税金について、いつを起算点として数えるのかを整理することが重要です。
さらに、相続税では生前贈与加算が関係する場合があるため、贈与税について期間が経過したことだけを理由に、その贈与が相続税と無関係になるとは限らないため、注意しましょう。
| 項目 | 相続税 | 贈与税 |
|---|---|---|
| 申告期限 | 原則、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内 | 原則、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日 |
| 時効(税額を更正・決定できる期間) | 原則5年 | 原則6年 |
| 不正行為がある場合 | 7年となる場合あり | 7年となる場合あり |
| 起算の基準 | 法定申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月) | 法定申告期限(贈与を受けた年の翌年3月15日) |
相続税の時効と名義預金の判定は別の問題
家族名義の預金において、「被相続人からずいぶん前にもらったお金だから、時効は過ぎている」と考えていても、実際には名義預金に該当する場合があるため注意が必要です。
相続税には、原則5年の期間制限があります。
ただし、個別の事情によって取り扱いが変わる場合があるため、「死亡から5年以上経ったから問題ない」とも言い切れません。
特に、税務調査を想定するのであれば、「何年前に作った預金か」だけで判断せず、資金の移動から被相続人が亡くなるまでの管理状況を確認しましょう。
税務調査で重要になるのは、名義預金を作った時点で本当に贈与が成立していたのか、そして、その後その預金口座を誰が実質的に管理していたのかという点です。
家族名義の預金がある場合は、名義だけで判断せず、資金の出どころや通帳・印鑑の管理者、入出金の状況などを整理しておくことをおすすめします。
贈与税の時効と、生前贈与の相続税への加算は別の制度
生前贈与について考える際は、「贈与税の時効」と「相続税の計算上、生前贈与を加算する制度」を混同しないことが重要です。
贈与税は、一般的には原則6年、不正行為があった場合は7年が時効とされています。
ただし、期間が経過したからといって、その贈与が必ず相続税の対象から外れるわけではありません。
相続税では、被相続人から相続人などに対して生前贈与された財産について、一定の要件を満たす場合、相続税の課税対象となる財産に加算する制度があります。
加算対象となる期間は、相続開始日や贈与を受けた人の区分などによって異なるため注意が必要です。
例えば、実際には贈与が成立しておらず、被相続人が資金を管理・使用していた場合、贈与税の時効の期限が過ぎていたとしても、その預金は「名義預金」と判断されて相続財産に含まれる可能性があります。
つまり、贈与税の時効が成立しているかどうかと、その財産が相続税の課税対象となるかどうかは、別々に判断する必要があるのです。
生前贈与や名義預金に関して判断に迷う場合は、取引履歴や管理状況などの資料を整理したうえで、早めに相続税に詳しい税理士へ相談しましょう。
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●贈与税の時効は何年?6年と7年の違い、成立する時期と注意点を解説
時効がない相続はある?
相続に関する権利の中には、時効が設けられていないものもあります。
代表的なものは、次のとおりです。
遺産分割請求権
相続人が複数いる場合には、被相続人の遺産を分割して受け取ることになりますが、法定相続分はありますが、財産ごとの分割方法に法的な決まりはありません。
遺言書がある財産は遺言書の内容に従いますが、遺言書なしの財産では相続人同士の話し合いで決めることになります。
その話し合いを「遺産分割協議」といい、話し合いを提案する権利が「遺産分割請求権」というわけです。
●遺産分割のやり直し
例えば、相続税申告期限までに遺産分割協議を行い一度は合意したものの、後からやり直したいと思った場合は再度提案することが可能です。
ただし、以前の合意内容を破棄して遺産分割協議をやり直すことができるのは相続人全員が納得した場合のみで、1人でも反対していた場合はできません。
提案はできても、必ず実行できるわけではないところがポイントです。
また、不動産を相続した人が第三者に売却してしまった場合などは、その売買契約を無効にしたり、購入者に返還を求めたりすることはできません。
すべてを無効にして、完全にやり直せるとは限らないのです。
さらに、次のようなリスクにも注意しましょう。
●税金が2度かかるリスク
例えば、当初はAが相続した財産を、相続申告後の再協議でBが取得することになったと仮定します。
この場合、税法上はAからBに財産を贈与したことになり、Aが相続時に相続税を納め、Bは取得時に贈与税を納めることになるというわけです。
●手数料が2度かかるリスク
遺産によっては、取得時に名義変更などの手続きが必要なものがあります。
名義変更では、必要な書類を取得する際に発行料が必要だったり、手続きそのものに手数料がかかったりと、手間や費用がかかることも多いでしょう。
分割協議をやり直す場合、再度手続きが必要となり、またそれぞれの料金を支払う可能性もあるというわけです。
相続登記
相続登記とは、不動産の名義変更手続きです。
これまで相続登記は任意でしたが、2024年(令和6年)の法改正により義務化されました。
義務化にともない、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することが原則となっています。
また、遺産分割が成立した場合には、その遺産分割によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を申請する必要があります。
正当な理由がないまま申請を行わなかった場合、10万円以下の過料適用対象となるため、土地を相続した場合は早急に手続きを行いましょう。
なお、2024年(令和6年)4月1日より前に相続が開始した不動産についても、相続登記の申請義務化の対象となります。
この場合は、原則として2027年(令和9年)3月31日までに相続登記を申請する必要があります。
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●遺産分割や相続登記していない不動産に国が警鐘!相続を放って置くのはNG
その他の時効について詳しく解説
相続に関連する権利は、他にも様々なものがあります。
相続をする全員が当てはまるものばかりではありませんが、主な権利と時効について解説しましょう。
また、時効の起算日はどんな権利かによって違います。
「相続の開始から」「相続税申告期限から」あるいは「気づいたときから」「権利を行使できるときから」など、様々なパターンがあることを覚えておきましょう。
遺留分減殺請求権・遺留分侵害額請求権【1年、10年】
遺留分とは、相続人が遺産を取得する際に法律によって保障されている最低限の取り分のことです。
被相続人の生前贈与や遺言により実際に取得する遺産額が遺留分を下回る場合には、その不足分を請求することができます。
遺留分制度については、2019年(令和元年)7月1日の法改正により請求内容に変更がありました。
そのため、下記のとおり、相続時期によって行使できる権利が異なることになります。
●遺留分減殺請求
2019年(令和元年)6月30日までに開始した相続については、改正前の「遺留分減殺請求権」が適用されます。
減殺請求とは、遺留分を侵害された相続人が、遺留分を侵害する遺贈や贈与の効力を減殺し、財産の返還を求めることです。
ただし、事業を継承する長男が業務上必要な財産をもらうことで、次男の取得額が極端に少なくなってしまうケースなどでは、対応が難しい場合もあるでしょう。
●遺留分侵害額請求
2019年(令和元年)7月1日以降に開始した相続では、遺留分を侵害された際に侵害請求を行います。
改正後の侵害請求では、「遺留分侵害額相当の金銭」を請求することとなり、物件そのものの返還は求めません。
改正により、「この物件を特定の人に渡したい」という遺志の尊重と、相続人の不利益を回避することが両立しやすくなりました。
どちらの場合も、起算日は「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったとき」となり、遺留分の侵害を受けた相続人自身が、生前贈与や遺贈を受けた相手に対して請求の意思を示すことが重要です。
期間内に遺留分侵害額請求権を行使しなかった場合には、時効によって請求権が消滅します。
また、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知らなかった場合でも、相続開始のときから10年を経過すると、遺留分侵害額請求権は時効によって消滅します。
相続回復請求権【5年、20年】
遺産相続では、被相続人が亡くなった時点の家族構成により誰が相続人になるか、民法によって定められています。
しかし、相続人自身の素行や行動により、相続の権利を剥奪されるという可能性もあるのです。
したがって、立場上は相続人でも、実際に相続権を持っているかどうか判断がつかないこともあるでしょう。
本来は相続の権利を持たない人が遺産を相続していた場合に、他の相続人がその遺産返還を求める権利のことを相続回復請求権といいます。
この権利は、本来の相続人が自分たちの権利を侵害されていることを知った日から、5年以内に請求を行わないと時効により消滅してしまうのです。
また、権利侵害の事実や相続そのものを知らなかった場合でも、相続開始から20年経過すると請求権がなくなります。
●相続人とは
被相続人の配偶者は、常に相続の権利を得ます。
配偶者以外の親族は下記の優先順位で相続の権利を得ることになり、順位の異なる者同士が同時に相続人になることはありません。
亡くなっている人がいる場合は、同一カテゴリーの中で次の世代に権利が移動します。
| 順序 | 被相続人との関係 |
|---|---|
| 第1順位 | ①子 ②孫 ③ひ孫 |
| 第2順位 | ①父母 ②祖父母 ③曾祖父母 |
| 第3順位 | ①兄弟姉妹 ②甥姪 |
●相続権の剥奪とは
下記の事由に該当するものは、相続にかかる一切の権利を剥奪されることになります。
| 相続欠格 | 下記に該当する場合は、相続の権利が剥奪される。 ①故意に被相続人や他の相続人を死にいたらせた場合(未遂を含む) ②被相続人の殺害を知って、告発しなかった場合 ③詐欺や脅迫によって、遺言に影響を与えた場合 ④遺言書を隠匿、破棄、偽造した場合 |
|---|---|
| 相続人の廃除 | 下記に該当する場合、被相続人の請求により、家庭裁判所の審判によって相続人から相続の権利を剥奪することができる。また、遺言によって廃除の意思を示すことも可能。 ①被相続人に対して虐待、又は重大な侮辱を加えたとき ②その他の著しい非行があったとき |
相続税の更正の時効【5年】
相続税は、納税者自身が相続税の計算をして、申告・納税を行います。
しかし、相続税の計算方法は複雑なため、相続財産を過大評価していたり、非課税財産を見落としていたり、各種特例や控除を適用していなかったりして、本来よりも多く納めてしまうケースが珍しくありません。
遺産評価や税額軽減制度の適用を見直したことなどから税金を払い過ぎていたことがわかった場合は、還付金を請求するために更正の請求を行います。
更正請求の時効は、相続税の申告期限から5年以内です。
債権の消滅時効【5年、10年】
債権とは、「貸したお金を受け取る権利」のことです。
債権の消滅時効は、法定(民法)では「権利を行使できることを知ってから5年」あるいは「行使できるときから10年」となっています。
つまり、時効まで権利を行使しなければ、以下の権利が消滅するということです。
●債権者が貸したお金を受け取る権利
被相続人の借金を相続した場合でも、消滅時効を迎えれば返済義務はなくなります。
ただし、債権者が権利を行使しない期間が5年、あるいは10年は続かなければ、消滅時効は成立しません。
債権者が裁判上の請求などを行った場合には、時効の完成が猶予されたり、時効が更新されたりすることがあります。
そのため、実際には、債権の消滅時効が成立することは滅多にないでしょう。
●金融機関に預けておいたお金を受け取る権利
預貯金を受け取る権利も「金融債権・預金債権」と呼ばれ、同様の消滅時効が定められています。
実際に時効を理由として払い戻しを拒否するかどうかは各銀行の対応によるでしょうが、法律上は時効があることを知っておいたほうが良いでしょう。
被相続人の預貯金口座を相続した際は、生活に影響がないからと放置せず、早めに相続手続きをしておくことをおすすめします。
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●上場株式・投資信託の遺産分割方法の提案
それぞれの時効が過ぎてしまったときの対処法
時効を過ぎてしまった場合は、該当の権利が失われることがほとんどです。
例外的ないくつかについて、期限を過ぎてしまった場合の対処方法を紹介しましょう。
相続放棄
原則として、相続開始から3ヶ月以内に相続放棄の手続きを行う必要があります。
また、一度行った相続の放棄は撤回できません。
ただし、相続財産に関わる重大な誤解があった場合や、詐欺や強迫等によって選択した場合、後から借金が発覚した場合などは、例外が認められる可能性があります。
相続問題の実績豊富な専門家に、相談する価値はあるでしょう。
遺産分割協議
遺産分割協議に「時効」はありませんが、相続税申告の「期限」はあります。
相続開始から10ヶ月という期限内に、申告と納税を済ませなければなりません。
遺産分割協議が終わらなかった場合は、ひとまず民法で規定された「法定相続分」で取得したものとして申告と納税を行うことになります。
その際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくことが重要です。
●「申告期限後3年以内の分割見込書」とは
相続税の計算では、配偶者控除や小規模宅地等の特例といった税額軽減制度が用意されています。
しかし、遺産分割が終わっていないケースでは控除や特例を適用させることができません。
「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくことで、実際に分割を終えたときに控除や特例を適用させることができるというわけです。
一方、成立した遺産分割協議のやり直しを求めるケースでは、いったん適用を受けた税額軽減制度が無効になる可能性もあります。
再分割は簡単だからと安易に考えず、将来的なシミュレーションも踏まえ、しっかりと協議することが大切です。
納税義務の時効について
相続税の時効が過ぎたからといって、申告義務も納税義務もなくなるわけではありません。
また、現実問題として、納税の時効が成立するケースはまずありません。
税務署では、国税総合管理システム(KSKシステム)によって、生前の所得税額などの納税状況データを蓄積しています。
また、マイナンバーとの連動や各金融機関との情報共有などにより、保有財産についても徹底して調査されているというわけです。
相続税を納めるべき財産があるのに申告をしなかったり、過少申告を行ったりした場合は、税務調査の対象となる可能性が高まります。
●税務調査
税務調査とは、税務署で把握している情報と実際の申告との相違についての確認です。
実際に税務署の担当職員が現地を訪問する実地調査、文書や電話による連絡、または来署依頼による面談など様々な方法がとられています。
調査の結果、申告漏れが明らかになった場合は、速やかな申告と不足している税額の納税が必要となります。
本来の税額以上の加算税が課されるかどうかは、それぞれのケースによって異なります。
例えば、1億円分の遺産について申告と納税をしているのに10万円分の遺産を見落としていたケースと、1億円分は申告したものの3億円分の遺産を隠していたというケースでは、判断が異なって当然です。
悪質だと判断されるケースでは、延滞税の他に加算税も課されることもあるでしょう。
●延滞税とは
期限までに税金が納付されない場合には、原則として「期限の翌日から納付する日まで」の日数に応じた延滞税が自動的にかかります。
| 納期限の翌日から | 延滞税の割合 |
|---|---|
| 2ヶ月を経過する日まで | 年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合 |
| 2ヶ月経過以降 | 年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合 |
なお、延滞税特例基準割合とは、銀行の短期貸出金利などをもとに毎年決められる、延滞税率を計算するための基準となる割合です。
●加算税とは
加算税は、申告義務がきちんと果たされない場合に課されるもので、行政制裁のひとつです。
申告漏れや無申告などの状況に応じて、過少申告加算税や無申告加算税、重加算税などが課されます。
| 名称 | 課税割合 |
|---|---|
| 過少申告加算税 | 10~15% |
| 無申告加算税 | 15~20% |
| 重加算税 | 35~40% |
このようなことにならないためにも、期限内に正しく相続税申告と納税ができるよう、準備を進めておきましょう。
自分の相続について不安がある場合は、専門家の知識に頼るというのもリスク回避の方法のひとつです。
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●相続税の申告期限は10ヵ月!納税までの流れや遅れた際のペナルティと対処法
相続が発生したらまず、税理士に相談をしましょう
この記事で、期限や時効が過ぎてしまった場合のデメリットについては、十分にご理解いただけたものと思います。
とはいえ、相続税の申告準備は資料の取得や書類の作成、確認すべきことが多く、手続きも煩雑です。
平日に役所や金融機関に出向くことも多く、負担が重いと感じることもあるでしょう。
さらに、相続の開始から10ヶ月後には申告と納税の期限がくるため、時間に余裕があるとはいえません。
効率良く進めるために、税理士に相談することがおすすめです。
その際は、相続問題の解決を専門としていたり強みとしていたりする税理士や税理士事務所を探すと良いでしょう。
税理士に相談するメリットとしては、個々の悩みに応じたアドバイスがもらえるほか、遺産の適正評価や節税対策、遺産分割についてなど、部分的なサポートを受けられる点が挙げられます。
相続税に強い税理士のサイトを探してご覧になれば、事務所の特徴や、実績報告のまとめ、専門とする分野、取り扱い事例といった情報が掲載されており、参考になるでしょう。
さらに気になる報酬やプランについても詳しい記載ページがあれば安心ですね。
まずは初回無料相談サービスなどを活用してアクセスし、気軽に質問してみてはいかがでしょうか。
≪関連ページ≫
●生前贈与(特別受益)がある場合の遺産分割
●あなたは大丈夫?相続で注意が必要な23のケース
●相続税の節税は選ぶ税理士で変わる!申告や対策の方法を税理士法人が解説
●失敗しない遺産分割19の提案
相続税申告と相続手続きの
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亡くなった方から相続や遺贈によって財産を取得した場合にかかる「相続税」。
その申告と納税は10ヶ月という限られた期間内で終える必要があります。
相続ステーションⓇでは、相続税申告累計3,400件を超える実績と豊富な経験・ノウハウがございます。
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