金を相続したら相続税はかかる?金地金・金貨・貴金属の申告方法をご案内
金の地金やインゴット、アクセサリーや金貨など、ご自宅に金の資産が眠っていたというケースは珍しくありません。
観賞用の置物や金貨のコレクションなどは「相続財産」という意識がないことも多いのですが、実は相続税の算出には含まれるため注意が必要です。
また、自宅や貸金庫で保管されている金の資産についてご家族は詳細まで把握できていないケースもよくあります。
いざ相続開始となった際に、金が含まれていたらどんな点に注意をすれば良いのでしょうか。
この記事では、相続財産に金の資産が含まれていた際の評価方法や注意点、金の資産の種類別の注意点からよくある申告漏れのミスまで詳しく解説していきます。
金を相続する場合は、相続税の対象になる
相続税がかかるかどうかは、引き継いだ財産の総額が基礎控除額を超えるかどうか次第です。
相続財産が金であっても、それは変わりません。
では、相続財産に含まれる金とはどんなものでしょうか。
金地金・金貨・貴金属も相続財産に含まれます
原則として金銭的価値のあるものは、すべて相続財産に含まれます。
例えば、金ならば地金(インゴット)や金貨、宝飾品などです。
アクセサリーや置物、装飾品などは相続財産に含まれないと誤解される方もいますが、実際には後述する仏具使用しているもの以外は相続課税対象財産に含まれるので注意しましょう。
特に近年、インフレ対策や投資の目的で金を保有する方が増えています。
そのため、相続手続きを進める際は、見落としがないよう確認することが大切です。
自宅保管・貸金庫保管にかかわらず確認が必要です
金の場合は、自宅保管にしている方も多いものです。
ですが、金の保管場所によって、相続税の対象になるかどうかは変わりません。
金が、自宅のタンスなどに保管してあっても、銀行の貸金庫に保管してあっても、被相続人の財産であることは同じです。
特に貸金庫の場合、家族がその存在自体を知らない場合があります。
普通預金からの利用料金引落し、金融機関からの郵便物や契約書や利用明細などの書類を確認し、貸金庫の契約についても調べておくと安心です。
相続税申告で確認したい金や金製品の種類
では、相続税の対象となる金や金製品にはどんな種類のものがあるでしょうか。
金地金・ゴールドバー
特に保有しているケースが多いのは、金地金(インゴット)やゴールドバーです。
金地金やゴールドバーは資産運用や資産保全の目的で購入されることが多く、価格も高額になりがちです。
近年は、金だけでなくプラチナなどの貴金属を投資目的で保有しているケースもあります。
相続財産に金地金やゴールドバーが含まれている場合は、購入時の領収書、証明書や保管証書、取引記録などの書類が残されていないかを確認しましょう。
金貨・記念金貨
金貨や記念金貨も、しっかりと確認しておきたい財産です。
金貨の中には、国家的な行事や皇室慶事などを記念して発行された記念金貨もあります。
被相続人が記念硬貨の収集を趣味にしていたケースでは、相続人が「個人の趣味のコレクションだから相続財産にはあたらない」と判断してしまうこともあります。
けれども金貨には財産的価値があるため、実際は相続財産として取り扱われるケースが大半です。
コレクションの場合は枚数が多くなり、金銭的価値も高くなることが少なくありません。
また、発行枚数が少ない金貨や希少性の高い金貨は、高額な価値が認められることもあります。
相続財産の調査では、金貨の存在も忘れずに確認しておきましょう。
仏具・置物などの金製品
置物なども、素材が金であれば相続税の課税対象に含まれることがあります。
ただし、仏壇や仏具、神棚、神具、祭具など、礼拝や祭祀(先祖供養や信仰)のために日常的に使用されているものは、相続税法上では非課税財産とされます。
例えば、自宅で普段から使用しているおりんなどの仏具であれば、一般的には相続税の対象からはずれます。
ただし、純金製の高額な仏像や仏具を財産の保有や相続税対策のために取得した場合や、美術品や工芸品、置物として観賞用などに所有していた場合、相続財産の課税対象となる可能性があります。
金の相続税評価はいつの価格で判断する?
では金が相続財産に含まれる場合、どの時点の価格で評価されるのでしょうか。
相続開始日時点の時価で評価します
一般的に、金を相続した場合の相続税評価額は、相続開始日時点における貴金属業者の公表価格や査定額などを参考に評価します。
つまり、被相続人が亡くなった時点での時価が基準になるということです。
もし相続開始後に金価格が大きく上昇・下落したとしても、相続税の計算上では相続開始日時点の価格を使用します。
あくまでも基準となるのは相続開始日であることを押さえておきましょう。
また、購入した際の金額ではないという点も重要なポイントです。
近年は金価格が大きく変動しているため、購入時の価格に比べて相続税評価額が大幅にアップしていることも珍しくありません。
けれども、あくまでも基準は相続開始日時点の価格です。
金を「いくらで買ったか」ではなく、「亡くなった日にいくらの価値があったか」が重要になります。
買取価格・市場価格など評価根拠を残しましょう
金の相続税申告では、評価額をどのように算定したのかがわかる資料を保管しておくことが重要です。
金は価格が高額になることが多く、相続税について税務署から確認を求められる可能性もあるためです。
相続税を算出するために金を評価する際は、次のような流れで確認すると整理しやすくなります。
金の相続評価額を判断する流れ
- STEP1:素材の種類を確認する
- STEP2:重量や純度(24金・18金など)を確認する
- STEP3:シリアル番号や刻印の有無を確認する
- STEP4:証明書を確認する
特に金は評価額の変動幅が大きな財産です。
どの時点での価格を採用したのかが客観的にわかる資料を残しておけば、相続人同士の確認もしやすくなります。
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●相続する美術品・宝飾品・骨董品・コインなどの評価と換金・売却・寄付
金を相続したときに集めておきたい資料
では、金を相続した際に集めておきたい書類とは具体的にどんなものがあるでしょうか。
購入時の領収書・計算書
最初に確認したいのは、購入時の領収書や売買計算書です。
これらの資料があると、被相続人がいつ、どのような金製品を取得したのかを知る手掛かりになります。
購入記録が残っていれば、全体での保有数量や種類の確認がぐっと楽になります。
もし金の存在を家族が把握していない場合でも、領収書や取引書類から保有していた事実が判明することも多いため最初に確認しておきたい資料です。
品位・重量・シリアル番号がわかる資料
金は、品位(純度)や重量によって価値が決まります。
金地金(インゴット)の場合、製造業者名や重量、純度、シリアル番号などが刻印されており、比較的わかりやすいものです。
しかし、刻印や証明書がない場合は査定や売却時に時間がかかったり、評価に影響したりする可能性があります。
そのため、購入時に発行された証明書や保管証書などを探すようにしましょう。
相続税の算出に利用できる主な確認資料の一覧は以下のとおりです。
| 資料の種類 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 領収書・売買計算書 | 購入日、購入先、購入数量 |
| 品位証明書・品質保証書・鑑定書 | 品位(純度)、製品情報 |
| 保管証書 | 保管財産の内容、保管場所 |
| 金地金本体の刻印 | 重量、品位、シリアル番号 |
| 貸金庫関係書類 | 保管契約の有無、保管先 |
| 財産目録・メモ | 保有状況や保管場所 |
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●自宅や貸金庫にGOLD・金地金がある場合の相続における問題点と税金の問題点
金を遺産分割するときの注意点
金は現金や預貯金と違い、g(グラム)によっては分けることが難しい資産です。
遺産分割の際の注意点を見ていきましょう。
現物のまま分けるか、売却して現金で分けるかを検討する
金を相続した場合は、まず金をそのまま分けるのか、売却して現金化してから分けるのかを決めなければなりません。
相続人の人数や不動産など他の財産の状況により、どちらが適した方法かは変わってきます。
売却して現金化をすると、公平に分けやすくなるメリットはあります。
一方で金はインフレ対策や資産保全の手段として保有されることが多く、金のまま保有したいという相続人もいるかもしれません。
相続人それぞれの希望なども考慮して話し合うことが大切です。
金地金は1円単位で分けにくい財産です
金地金は預貯金などに比べ、分割が難しくなりがちです。
例えば、金地金を相続人3人で均等に分けたいとします。
金地金を分割加工することも不可能ではありませんが、通常は分割手数料や加工賃が発生します。
加工後の価値にも懸念が残ります。
そのため、実務では一部の相続人が金を取得して他の相続人が預貯金を取得する、金を取得した相続人が他の相続人へ代償金を支払うなどの方法が取られます。
また、換金して現金で分ける方法も一般的ですが、売却により含み益により高額な所得税が課されることを理解しておきましょう。
遺産分割協議には金の内容を具体的に記載しましょう
遺産分割協議書を作成する際は、金についての情報をできるだけ具体的に記載しておくことが大切です。
遺産分割協議書に「金地金一式を〇〇が取得する」と記載するだけでは、どの金地金のことなのか後々わからないかもしれません。
「○○社製インゴット500グラム1本シリアル番号○○番」「〇〇事業の記念金貨3枚」など、種類や数量・番号について特定できるような記載方法がおすすめです。現物を持ち帰る際には、売却時に備え購入明細も一緒に分けましょう。
金の資産を貸金庫で保管している場合は、保管場所の情報も忘れずに記載しておきましょう。
また、田中貴金属などの金の積立・保護口座では複数人に名義変更は難しく、有料の現物引取りも1人にしか送付してくれなかったりするので、遺産分割協議の際は特性を理解しておきましょう。
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金の申告漏れが起こりやすいケース
相続財産に金が含まれている場合、相続税の申告漏れにつながるケースも少なくありません。
金の申告漏れがあると、税務調査で指摘を受ける可能性があります。
その場合、本来の税額に加えて加算税などのペナルティが課されます。
金を自宅や貸金庫で保管している場合は把握漏れのリスクがあるため、まずはどんなケースがあるのか見ていきましょう。
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●相続税・贈与税のペナルティ税率(加算税・延滞税など)
親族が金を持っていたことを知らなかった場合
申告漏れが発生する理由として多いのは、相続人が「金の保有」を知らなかったケースです。
預貯金や株式、投資信託などは、定期的に金融機関や証券会社などから郵便物が届くことが多いものです。
けれども、金地金や金貨などは、一旦購入してしまうとその後の通知がないことも多々あります。
そのため、家族が金を保有していると知らないままになってしまうことがあるのです。
相続税の申告では、相続人がすべての相続財産について把握し、確認する必要があります。
相続人が困らないように、被相続人が生前に金の資産についても記録しておく、家族に伝えておくなどの対策をしておくことが重要です。
アクセサリーや記念金貨を財産と認識していなかった場合
金のアクセサリーや記念金貨のコレクションは、「趣味の品」「嗜好品」ととらえ、相続財産には含まれないと誤解してしまうケースもよくあります。
けれども原則、金銭的な価値のあるものは相続財産に含まれます。
金のアクセサリーや置物、記念金貨なども例外ではありません。
ひょっとしたら素材としての金自体の価値だけでなく、希少性により価値が高まっていることもあり得ます。
金製品が含まれていた場合は、必要であれば専門家への相談なども早めに行うと安心です。
貸金庫の中身を確認できていない場合
被相続人が銀行などの貸金庫に金を保有していたのに、相続人は全く知らなかった。
これもよくある申告漏れの原因です。
貸金庫は、現金、金地金や金貨と一緒に権利証や重要書類などを保管する手段としてよく利用されています。
けれども貸金庫自体の存在を家族に伝えていない場合、貸金庫の中の財産が丸ごと相続税の算出から漏れてしまうこともあり得ます。
貸金庫などがある場合には、家族に情報を共有する、シリアル番号入りの遺言などの書類に記載しておく、などの対策をしておくと良いでしょう。
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金の相続税申告でお困りの方は専門家へご相談ください
金地金や金貨、貴金属類は、相続財産として評価する際に注意が必要です。
まずは、非課税財産でないかどうかを確認し、相続財産に含まれる場合には相続開始日時点の価額を把握し、適切に評価しなければなりません。
また、金を自宅や貸金庫で保有していた場合、相続人が金の資産を把握できていないことも多いものです。
金は財産的価値が大きいので、後から発覚すると遺産分割の額や相続税額の計算に大きな影響が出ることがあります。
相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に手続きを終えなければなりません。
特に金のように評価が難しい財産が含まれている場合には専門家への相談も検討してみるのがおすすめです。
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