事業承継のリスクヘッジ◆自社株・個人名義土地建物・遺言書・贈与
自社株と同様に個人名義のまま事業利用している財産を分散させずに確実に現経営者や後継者に取得していただく方法として遺言や贈与があります。ただし建物・機械設備・車両など、評価が下がっていく財産の贈与は当事務所ではお勧めしていません。それらは法人が買取った方が良いでしょう。
一般中小法人について承継者が行うべきリスク対策は『自社株の贈与税・相続税の納税猶予』の余地をつくっておく為に「事業承継計画書」を都道府県宛てに2024年(令和6年)3月末までに提出しておくことですが、併せて検討すべきは次の点です。
自社株について遺産分割で紛糾しないように遺言書で承継者を定めておく
自社株について事業承継者は単独で理想は2/3超保有ですが、最低でも50%超は保有しておきたいものです。
その理由は中小零細企業であっても、取締役の選任・解任、役員報酬や退職金の決定など「株式分散のリスク」にも書いているように全て会社法に従わなければならないからです。
しかし、頑張っている会社や歴史の長い会社など株価が高くなり、自社株だけで法定相続分を超えてしまい、相続税納税の為の預金相続が難しくなる傾向にあります。
遺言があれば自社株相続の為の遺産分割交渉時間が短縮できるだけでなく、預金相続や「自社株の相続税納税猶予」、遺留分対策にも使える「生命保険は最強の遺言」も併せて駆使するプランも立てやすくなります。
●株式分散のリスク_自社株を分散させない遺産分割方法の提案
●事業承継特例_自社株の相続税と贈与税の納税猶予の特例の提案
●生命保険は最強の遺言書_相続税の非課税枠フル活用、相続対策としての保険活用法
自社株を贈与する
株式会社や有限会社の事業承継にとって、後継者の持株割合は非常に大切です。遺言で相続させることもできるますが、将来的に株価が上がりそうであれば検討する必要があるでしょう。
贈与する場合の手順は以下のとおりとなります。
- (1) 自社株の評価
- (2) 贈与者と受贈者の決定
- (3) 贈与株数の決定
- (4) 贈与の実施と証拠書類の作成
- (5) 贈与税の申告と納税(必要な場合のみ)
出資の評価方法
自社株を中心的な株主に贈与するときの評価は法人の規模により、類似業種比準方式、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式及び純資産価額方式により評価することとされています。
自社株の贈与・・・贈与事実の証明
贈与にあたっては、贈与したという「事実」を証明しておかなければなりません。具体的には取締役会の議事録と贈与契約書を作成し、贈与の事実があったことの証拠書類を作成する必要があります。
当然のことながら贈与額によっては贈与税の申告及び納税が必要です。
贈与の方法
「暦年贈与」(年110万円までの贈与は非課税)と「相続時精算課税贈与」という2つの方法がありますが、業績(=今後の株価の見通し)により選択します。又、贈与額が高額になる場合は「事業承継税制の特例」も併せて検討しましょう。
●暦年贈与の贈与税割合表(贈与税額表)◆相続税と贈与税の比較検討(贈与税額表を使って相続と贈与の有利比較)どっちが得?
●相続時精算課税制度の贈与を活用した相続税の節税_大型贈与で有利に資産移転
●事業承継特例/自社株の相続税と贈与税の納税猶予の特例の提案
遺言書で承継者を定めておく、法人が買い取っておく、同族会社の事業用小規模宅地の減額特例が使えるように「賃貸借契約書」を作成し地代や家賃を払う
法人が利用している土地や建物は、遺言書で承継者を定めておく
●遺言書が必要な16のケース●相続手続きと相続税申告をスムーズにする為●遺言書の作成サポートの流れと必要書類
●遺言書の作成・遺言執行の報酬について
法人利用している土地や建物は法人が買い取っておく
法人が買い取れば地代や家賃を払わなくて済みますが、土地も含めれば高額になるようなら建物だけを減価償却後の簿価又は固定資産税で買い取る方法でも良いでしょう。その場合は建物の登記名義も法人に変更します。もし未登記の建物の場合は新たに表示登記をするか、役所の固定資産税課で「納税義務者の変更の届出」をします。土地も買い取る場合は公示価格や路線価の25%増を基準に 買取額を算出します。
「土地賃貸借契約書」又は「建物賃貸借契約書」を作成し、賃料を支払う
個人名義のまま土地や建物を法人が利用を続ける場合は、賃貸借契約書を作成して、賃料をしっかり払います。
これによって「同族会社の事業用小規模宅地の特例」が使えて大巾に相続税が節税できます。
土地・建物共に個人名義の場合は、「建物賃貸借契約書」を作成します。賃料は法人が利用している床面積を基礎に算出しますが、最低でもその建物と建物の敷地に対する固定資産税・都市計画税の合計額の2倍は家賃年額で超える様に設定します。
建物は法人名義で土地のみが個人名義の場合は、法人名義の建物の敷地について「土地賃貸借契約書」を作成します。賃料はその敷地に対する固定資産税・都市計画税の合計額の2倍は地代年額で超える様に設定します。
●小規模宅地の減額特例の活用◆同族会社事業用宅地
法人が使っている土地・建物を承継者に贈与
出資の評価で解説したのと同様に
「暦年贈与」と「相続時精算課税贈与」がありますが、
贈与額が大きくなると思いますので、
通常は、「相続時精算課税贈与」を使います。
尚、土地を贈与する際には、
できるだけ評価技術を駆使して「路線価から減額」しなければいけないことは言うまでもありません。
●暦年贈与の贈与税割合表(贈与税額表)
●相続時精算課税制度の贈与を活用した相続税節税の実施(賃貸建物・値上り土地・自社株など)改正で年110万円以下贈与も有効
●土地評価の減額は相続税の節税と遺産分割で最重要!精緻な土地評価は相続節税の第一歩
名義株は整理しておく
中小企業といえども会社後継者にとって全株式の2/3超や3/4超の議決権を有しておくことは大切です。昔は会社設立の際に7人の発起人(=出資者)が必要だったことから、名義だけ借りて実際の出資は1人だけが負担していた時代が長く続きました。いわゆる「名義株主」と言われる形式上のみの株主です。
設立以降一度も増資や配当もしていない場合は1日も早く実際の出資者と名義株主との間で『実質株主 確認書』を交わして実際の出資者を整理しておきましょう。名義株主が死亡している場合には、その遺族との間で締結しておきます。
他方、相続税を減らすことだけを考えて、支配権のことを考えず全株の25%超を後継者以外の子や孫に贈与している体裁で分散しているケース。しかし、法人税の申告書の記載だけで、贈与の契約書や贈与の為の議事録も作成せず、1人あたり年110万円以下であることから贈与申告していない。このケースは税務署も「贈与の実態」が無いとして、相続税の申告後に税務調査で否認してきがちです。
このケースの場合は不幸中の幸いとして、上記同様に『実質株主 確認書』を名義株主と元来の株主との間で交わした上、後継者と贈与契約や遺言書を作成しましょう。
≪関連ページ≫
★自社株を分散させない遺産分割方法の提案(株式分散のリスク)
★同族会社の株式(取引相場のない株式)を評価
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