遺産分割の大原則は遺産分割時の時価でするべきですが、民法に「遺産の分割は遺産の種類・性質〜その他一切の事情を考慮して行う」とあることから、相続人全員が了解すれば時価や相続申告評価以外の“独自の遺産分割価値”を基準に協議することも可能です。当社がケースによって提案する遺産分割上の価値は次の様なものがあります。
[例]
① 不動産
-
イ.
昔からの地主の為、売却が許されない先祖伝来の自宅や活用・売却が不可能な狭道に面した農地・宅地
⇒相続税持出しになるだけなので“マイナス価値”
-
ロ.
築年数が古いのに建替えが難しく今後多大なる修繕費や維持費がかかりそうな建物
⇒通常の評価額から将来の修繕コストの見込額を控除した価値
-
ハ.
賃料の改善が見込めない貸地・小作地や老人入居者のいる老朽貸家で通常の評価額では換金できない土地
⇒現状のままでの売却可能額から譲渡所得税・住民税を控除した額。当社では売却のお手伝いもしております。
-
ニ.
広いが為に相続評価が低く、維持費も安い割に安定的に収入が見込める事業用定借地や一括貸し駐車場など
⇒契約残存期間や契約見込期間のトータルキャッシュフロー価値
② 上場株・投資信託・外貨預金など
通常は相続発生時点の価額を基準に遺産分割協議をしてしまいがちであるが、民法の大原則に従って遺産分割協議時の時価にアップデートした価値
③ 非上場株・同族会社株
-
イ.
経営者一族などは自社 or ホールディング会社以外には売ることもできないので
- ・相続税持出マイナス価値
- ・類似業種比準価額では高くなる場合は時価純資産での評価額
- ロ.今後経営に携わらない同族関係者の場合は、自社による買取実現額
- ハ.同族関係者以外の場合は実際配当還元額
④ 貸付金・立替金などの債権
⇒実際回収可能額
⑤ 美術品や宝飾品、骨董品、コイン、切手
⇒一般的な評価ではなく、業者買取査定額
当社では買取査定業者のご紹介もしています。
≪参考ページ≫
●相続する美術品・骨董品・宝飾品・コイン・切手の査定・売却・寄付
⑥ 祭祀承継費
⇒通常、相続税申告では考慮しない将来に亘る墓石購入見積額や納骨代・将来法要費用など
⑦ 特別受益(特定の人に対する利益などの供与)
⇒通常、相続税申告では考慮しない
- イ.過去10年以内の相続人に対する贈与(2019民法改正により配偶者への自宅贈与除く)や資金提供、生活支援
- ロ.特定の相続人のみが家事などの労務提供もなく無償で不動産を利用させてもらってきた場合の過去の賃料相当額
⑧ 特別寄与
- イ.相続人が無償で被相続人の介護・看護をしてきた場合や、低報酬で家業の手伝いをしてきた場合はその労務提供分を相続したい財産価値から控除
- ロ.相続人以外の親族がイ.の様な特別寄与があった場合には、2019民法改正により相続人らから特別寄与料を取得できる