- 生前出金
- ヘソクリ
- 無申告の贈与
- 生前贈与
が多い場合に効果大
当局は2025年(令和7年)7月から全ての相続税申告書を対象に遺産ボリュームの大小にかかわらずAIを駆使して税務調査の対象先をピックアップしていきます。
無申告の贈与や生前出金、タンス預金が多い方、『ヘソクリ』が多い方は相続税申告後5年以内の税務調査のリスクが高まります。
相続税申告後の税務調査率は数十パーセントと言われていますが、私どもが関与した相続申告では22年間連続で税務調査率1%未満の実績を継続しています。
その理由は、
① 税務署が調査したがるポイントがわかっている。
② それらのポイントや課題を遺産集計段階から解決しておくノウハウを有し、その手間を惜しんでいない。
③ 税理士法で与えられている権限であるにもかかわらず、一般的な税理士では活用できていない「税理士意見書面の添付制度」を最大限活用。
この書面添付の制度は②と③を実行していないと活用できない“品質保証書”のようなものです。
AI税務調査で相続申告漏れを疑われやすい財産
国税庁が令和7年(2025年)7月から導入したAIを活用した全ての相続税申告書のスクリーニングでは、膨大な過去の申告漏れデータを分析することで、従来のように税務署職員の「勘」に頼るのではなく、以下の申告漏れの可能性を10段階評価し調査対象先を選定するようです。
① 名義預金
配偶者や子、孫名義の口座であっても、資金の出どころが被相続人(亡くなった方)にあり、実際の管理も被相続人が行っていた場合は、被相続人の財産と判断される可能性があります。
② タンス預金・隠し財産
銀行口座を経由せず、自宅などで保管されている現金も調査対象となる場合があります。
③ 生前出金
亡くなる直前や数年前に多額の現金が引き出されており、その使い道が明確でない場合は、税務調査で確認されやすくなります。
④ 有価証券(株式・投資信託)
被相続人が保有していた株式や投資信託などの有価証券は、本人名義分だけでなく、家族名義分も含めて資金の流れや保有状況が確認されることがあります。
⑤ 贈与税申告もれ財産・生前贈与加算もれ
贈与は成立しているものの、贈与税の申告もれや相続開始前7年以内の贈与財産の遺産への加算のもれを指摘されることがあります。
⑥ 土地の面積増大
実測面積が登記面積より大きいことが申告後の土地売却や分筆などの法務局情報により判明した場合には、土地評価の増加分が指摘されることがあります。
AI税務調査で確認されやすい預貯金・口座の動き
すべての相続税申告書について、膨大な申告漏れパターンを学習したAIを活用し、税務調査の対象となる可能性が高い申告書をスクリーニングしています。
例えば、金融機関に対しては、従来、相続発生時の残高や過去5年分の取引履歴をオンラインで取得し、その資金移動情報を税務署職員が経験や勘をもとに確認した上で、不審な点が見つかった場合に、さらに過去5年分(計10年分)の取引履歴を照会する流れが一般的でした。
つまり、これまでは税務署職員の経験や判断というマンパワーが調査先の選定のベースとなっていましたが、全ての申告書を対象にAIが分析を行い、学習を重ねながら税務調査の対象先を選定する仕組みへと変わってきています。
AIや税務署がスクリーニングするポイント
① 被相続人の金融資産が収入に比べて少ない
② 相続人の金融資産が収入に比べて多い
③ 被相続人の金融資産残高が通常考え得る以上に減少ペースが早い(平均的な生活費以上に生前出金している)
④ 相続人の金融資産残高が相続人の収入に比べ増加ペースが早い
⑤ 被相続人と同じ銀行・証券の支店で配偶者・子・孫名義の預金・証券がある
≪関連 詳細ページ≫
●AIによる相続税の税務調査、どこまで調べる?ヘッジに役立つ税理士意見書面の為の預金履歴10年分の確認作業
生前贈与がある場合にAI税務調査で注意したいポイント
AIは過去10年以上にわたる銀行口座の取引履歴などを分析し、生前贈与が成立しているかを疑ってきます。特に、次のようなケースは、相続税の税務調査で注意が必要です。
① 名義預金(隠れ資産)
贈与を受けた方の名義の口座であっても、口座開設や通帳・印鑑を被相続人(亡くなった方)が管理・出金しており、実質的に被相続人の財産といえる場合には、名義預金と判断され、相続財産に加算される可能性があります。
② 亡くなる直前の駆け込み贈与
相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算される扱いがあり、一定の場合には対象期間が7年以内となるケースもあります。これに加えて、亡くなる直前に多額の現金が相続人などにより引き出され、贈与していても被相続人の意思に基づくものか疑われ、申告漏れ財産と疑われることがあります。
③ 贈与税の無申告・申告内容の不整合
暦年課税の基礎控除額である110万円を超える贈与があるにもかかわらず申告をしていない場合や、贈与税の申告内容と相続税の申告内容に整合性がない場合には、税務調査で確認されやすくなります。
AI税務調査に備えて申告前に確認したい書類と記録
AI税務調査に備えるためには、相続税の申告前に、必要な書類や記録をあらかじめ確認し、整理しておくことが大切です。AIは主に、被相続人だけでなく、相続人やその近親者(配偶者・子・孫)を含めた資産の動きを分析すると考えられます。相続税の税務調査で確認されやすいポイントを踏まえ、次のような資料を事前に確認しておきましょう。
① 預金取引履歴(過去10年分)
被相続人本人に加え、配偶者・子・孫名義の口座についても、必要に応じて取引履歴を確認しておくことが重要です。特に、死亡日1年以内や被相続人の入院後の大きな入出金や、使途が明確でない現金の引き出しがないかを確認しましょう。あわせて、親が子・孫名義で管理していた預金など、名義預金に該当する可能性がないかも整理しておく必要があります。
② 生前贈与・資産移転の記録
生前贈与がある場合は、贈与契約書、通帳の入出金記録、贈与税の申告書などを確認しておきましょう。年間110万円以下の暦年贈与であっても、実際には贈与を受けた人が管理・使用していない場合には、贈与不成立と判断される可能性があります。あわせて、タンス預金やへそくりなど、申告漏れと見られやすい現金の有無についても確認が必要です。
③ 金融資産の残高証明(死亡日時点)
銀行口座、証券口座、生命保険、金(ゴールド)などの金融資産については、死亡日時点の残高がわかる資料をそろえておくことが重要です。貸金庫を利用していた場合には、内容物や開庫に関する記録についても確認しておくと安心です。
④ 固定資産税の課税明細・不動産関連書類
土地や建物については、固定資産税の課税明細だけではなく名寄帳も確認し、不動産の漏れがないかを調べておきましょう。固定資産税では非課税や少額で免税点以下になっていても相続税では課税対象となる場合が多いです。また先代や先々代名義のままの不動産は被相続人の固定資産名寄帳から漏れていることもあります。賃貸物件がある場合には、賃貸借契約書などの関連資料も保管しておくことが大切です。
⑤ 税理士意見書面(書面添付制度)
相続税申告の際に、税理士が申告内容や確認過程を明らかにした書面を添付することで、税務署に対して申告の適正性を示しやすくなります。書面添付制度の活用は、相続税の税務調査に備えるうえでも有効な方法のひとつです。
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