令和6年(2024年)税制改正の抜粋(令和5年12月14日発表)

令和6年(2024年)の改正は非常に小粒な印象を受けますが、その内で相続・贈与税や不動産に関連する改正で関心度の高い項目を抜粋しました。

(1)直系尊属からの住宅取得資金の贈与の非課税制度

改正前 令和5年(2023年)12月末日までの「住宅取得に係る契約」
  ↓
改正後 3年間延長し、令和8年(2026年)12月末までの「住宅取得に係る契約」まで贈与税を非課税とする


【 詳細 】
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講ずる。

  • 適用期限を3年延長する。
  • 非課税限度額の上乗せ措置の適用対象となるエネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用の家屋の要件について、住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をする場合にあっては、当該住宅用家屋の省エネ性能が断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(現行:断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上)であることとする。

(注1)
上記の改正は、令和6年(2024年)1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。
(注2)
令和6年(2024年)1月1日以後に住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をする場合において、当該住宅用家屋の省エネ性能が断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上であり、かつ、当該住宅用家屋が次のいずれかに該当するものであるときは、当該住宅用家屋をエネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用の家屋とみなす。

  • イ.
  • 令和5年(2023年)12月31日以前に建築確認を受けているもの
  • ロ.
  • 令和6年(2024年)6月30日以前に建築されたもの

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(2)個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について

個人事業承継計画の提出期限を2年延長して、令和8年(2026年)3月末日までとする。

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(3)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について

特例承継計画の提出期限を2年延長して、令和8年(2026年)3月末日までとする。

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(4)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について

① 個人で、年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳末満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者(以下「子育て特例対象個人」という。)が、認定住宅等の新築若しくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等の取得(以下「認定住宅等の新築等」という。)をして令和6年(2024年)1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして本特例の適用ができることとする。

住宅の区分 借入限度額
認定住宅等 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円

② 認定住宅等の新築又は認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置について、令和6年(2024年)12月31日以前に建築確認を受けた家屋についても適用できることとする。

③ その他所要の措置を講ずる。

(注1)
「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいい、「認定住宅」とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。以下同じ。
(注2)
「買取再販認定住宅等」とは、認定住宅等である既存住宅のうち宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものをいう。
(注3)
上記①及び②について、その他の要件等は、現行の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除と同様とする。

(5)登録免許税

住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延長する。

(6)不動産取得税

  • イ.
  • 宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置の適用期限を3年延長する。
  • ロ.
  • 住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置の適用期限を3年延長する。

(7)所得税・個人住民税の定額減税

令和6年(2024年)分の所得税について、定額による所得税額の特別控除を次により実施する。

  • (1)
  • 居住者の所得税額から、特別控除の額を控除する。ただし、その者の令和6年(2024年)分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である場合に限る。
  • (2)
  • 特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の所得税額を超える場合には、所得税額を限度とする。
    ① 本人 3万円
    ② 同一生計配偶者又は扶養親族(居住者に該当する者に限る。以下「同一生計配偶者等」という。)1人につき3万円
  • (3)
  • 特別控除の実施方法は、次による。
    給与所得者に係る特別控除の額の控除
    • イ.
    • 令和6年(2024年)6月1日以後最初に支払を受ける給与等(賞与を含むものとし、給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与等の支払者が支払うものに限る。)につき源泉徴収をされるべき所得税の額(以下「控除前源泉徴収税額」という。)から特別控除の額に相当する金額(当該金額が控除前源泉徴収税額を超える場合には、当該控除前源泉徴収税額に相当する金額)を控除する。
    • ロ.
    • 特別控除の額に相当する金額のうち、上記イ及びここに定めるところにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後令和6年(2024年)中に支払われる当該給与等(同年において最後に支払われるものを除く。)に係る控除前源泉徴収税額から、順次控除する。

      (注1)
      上記イ及び口により控除する同一生計配偶者等に係る特別控除の額は、原則として源泉控除対象配偶者で合計所得金額が48万円以下である者又は扶養親族で居住者に該当する者について算出する。
      (注2)
      源泉徴収の際の上記イ及び口による控除は、現行の源泉徴収をされるべき額から行う。
      (注3)
      上記イ及び口について、給与所得者の扶養控除等申告書に記載した事項の異動等により特別控除の額に異動が生ずる場合には、年末調整により調整する。
    • ハ.
    • 上記イ及び口により控除された後の所得税額をもって、それぞれの給与等につき源泉徴収をされるべき所得税の額とする。
    • ニ.
    • 令和6年(2024年)分の年末調整の際に、年税額から特別控除の額を控除する。
    • ホ.
    • 上記イ及び二による控除について、給与等の支払者が同一生計配偶者等を把握するための措置を講ずる。
    • ヘ.
    • 上記イの給与等の支払者は、上記イ又は口による控除をした場合には、支払明細書に控除した額を記載することとする。
    • ト.
    • 上記イの給与等の支払者は、源泉徴収票の摘要の欄に控除した額等を記載することとする。

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